先入観の罠

  • 2023.05.26

 『先入観』は常に判断を誤らせる根源です。それは医療の現場でも例外ではありません。救急の現場では、「きっと軽症だろう」という先入観が緊急疾患の見逃しに繋がります。しかし、人である以上、先入観を捨てよと言われてもなかなか実際のところ難しい面があります。大事なことはルーチンを怠らずに行うこと!これがエラーの防止に繋がるのです。

 関節リウマチ(RA)診療では、『触診所見を関節エコーで確認する』こと。これがルーチンです。触診では「きっと滑膜炎はないだろう」と思って関節エコーを当ててみると、予想外の滑膜炎が認められる場合をしばしば経験します。その逆もまた然りです。触診所見と関節エコー所見を反芻することで、触診技術の向上に繋がります。

 触診上、明らかに左右差をもって手関節が腫れているのに、関節エコーでは手関節滑膜炎を認めないことがあります。そのような時には、横断像でⅠ~Ⅵコンパートメントの伸筋腱群をみてみましょう。しばしばⅥコンパートメント(尺側手根伸筋腱)の腱鞘滑膜炎がみられることでしょう。RA発症初期からしばしばみられる所見です。

 自らのルーチンをしっかり作り上げることが診察技量の向上に繋がります。日々努力ですね。