関節リウマチ診断の難しさ(その5)

  • 2024.08.31

 「レントゲン撮りましたが、骨には異常ありません」  関節の痛みがあって医療機関を受診すると、しばしばこんなフレーズを医師から聞くことでしょう。  「痛み止めと湿布出しときますね。もし、痛みが強くなったらまた来てください。」  そんな締め括りの言葉を土産に、診察室を後にする患者さん・・・きっと、その医師からすれば決して特別な言葉ではなく、日常茶飯事なのでしょう。  「内科診断学」という言葉があるが、総合内科医が身に付けなければならないものの一つである。患者さんが訴える症...

「リンゲルマン効果」

  • 2024.08.27

 このタイトルにある「リンゲルマン効果」は、経営者がしばしば直面する大きな問題である。  詳細は各々の読者が調べていただければと思うが、組織の中で「リンゲルマン効果」が発生している状況においては、責任以上の成果を生み出そうとする意識は生まれない。そして、この大きな問題は当事者のそういった意識がなく生じるというところにあり、それを気付かせようにも多大なエネルギーを要するのである。  中間管理職がない組織においては、これを防止あるいは排除することは至難の業である。しかし、私が「孤独」に...

「覚悟」

  • 2024.08.24

 全ての苦しみは、将来の喜びのためにある。しかし、それは全員に当てはまるものではない。神様や仏様、ご先祖様はその人をみている。それは今を必死に生きた者だけに与えられるものである。受験勉強の合格もそして事業の成功も・・・・  横綱に降格がないように、そして立行司が短刀を差している(軍配差し違えの際の切腹する覚悟を意味する)ように、「覚悟」は人を強くする。  「覚悟」を持って仕事をしている人間がどれだけいるだろうか?その答えは、私が人付き合いをしない理由と一致する。  常に上を目...

人が気づかないもの

  • 2024.08.22

 「慣れ」とは怖いものである。私から言わせれば、それは「感覚が鈍る」ということと同義であるからである。「当たり前でない」ことを、「当たり前」だと思ってしまうからである。  私は開業する前は、お金をもらう立場にあった。毎月自らの口座に入金されることは当然のことであったし、それに対して格別何かを思うこともなかった。  しかし、経営者になってから、お金を振り込む立場に逆転した。この立場になってみて分かることは、自らの身を削って毎月一定額を保証し続けるということがいかに大変なことかというこ...

孤高の境地、ついに覚醒

  • 2024.08.21

 「孤独」と「孤高」の狭間(2024.06.27)と以前書いた。現在は確実に「孤高」にいる。自らの内面が以前と異なり確実に変わった、覚醒したと実感できる。決して一時的なものではない。高揚感でもない。しっかり根の張った大木のような力強さを内面から感じるのである。そして、それはマグマのように湧き上がってくるものである。別人になったかのような感覚である。  経営者としての覚悟が備わっている。クリニックに関して何かを決断する際には、その決断は誰のためのものであるのか?クリニックのためそして患者さ...

超硬水仕込み

  • 2024.08.18

 日本酒の成分の約80%は「水」です。水の違いによって、その味わいも大きく異なります。  カリウム・リン・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルが豊富な水は「硬水」、それらが少ない水は「軟水」と呼ばれます。日本は国土が狭く、川が急峻で短く、そして降雨量が多いが故に、ミネラルを含有しにくく、よって全体的に軟水傾向です。硬水で有名な「灘の男酒」(対義語は、「伏見の女酒」)であっても、その硬度は約100 mg/Lです。  一方、この日本酒の仕込みに使用される水は硬度が約250 m...

関節リウマチ診断の難しさ(その4)

  • 2024.08.18

 本日はこのシリーズの第4弾です。関節リウマチ(RA)の診断に血液検査は必ず必要ですが、血液検査だけでRAの診断ができるわけではありません。  今までの私の経験から言えば、リウマチ専門医でない医師のほとんどは、残念ながら血液検査だけでRAか否かを判断しています。その理由の大きなところは、医師国家試験にあるのではないかと思っています。本来、診断というものは、白・黒はっきりするケースは稀です。しかし、医師国家試験では典型的な例しか出題されないため、「この結果がこうであれば、こう判断する」とい...

選ばれることの重み

  • 2024.08.17

 患者さんは優しい医師を求めます。しかし、私から言わせれば、優しいだけの医師は医師ではありません。そして、患者さんの要望をそのまま聞いてくれる医師が、いい医師とは限りません。患者さんのことを考えて、患者さんとぶつかることも厭わない医師は貴重な存在です。「面倒くさい」と思われてしまえば、医師は何も言わないでしょうし、敢えて患者さんとぶつかることもしません。  「医師は職人」です。パフォーマンスは要りません。阿ることも要りません。基本を疎かにせず、問診・関節触診・関節エコーをしっかり行うこと...

関節リウマチ診断の難しさ(その3)

  • 2024.08.14

 関節リウマチ診断の難しさ(その1)(その2)では、関節リウマチ(RA)ではないにも関わらずRAと誤診されてしまった症例を紹介しました。今回はその逆のケースを紹介しましょう。  前回の(その2)では、高齢発症関節リウマチ(EORA)とリウマチ性多発筋痛症(PMR)の鑑別はしばしば困難な場合があると述べました。  PMRは高齢者に急性の経過(しばしばある日突然)で両肩関節痛や両肩関節の可動域制限が出現し、時に発熱や体重減少、抑うつ気分などの症状を伴うものですが、リウマチ・膠原病領域に...

関節リウマチ診断の難しさ(番外編:これはやっちゃいけない!!)

  • 2024.08.12

 皆さんしばらくこのシリーズは続きます。それは私がすごく怒っているからです。その対象は決して患者さんではありません。間違ったことを堂々と書いている医師に対してです。最近の私は、炎柱:煉獄杏寿郎と、風柱:不死川実弥が共存しているようです。  あるクリニックのホームページを見つけました。全国から関節リウマチ(RA)患者さんが集まっていると謳っており、「リウマチが治った」というタイトルの書籍を出している医師です。しかし、日本リウマチ学会のリウマチ専門医ではありません。そこには、「CRPの上昇、...