超硬水仕込み

  • 2024.08.18

 日本酒の成分の約80%は「水」です。水の違いによって、その味わいも大きく異なります。

 カリウム・リン・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルが豊富な水は「硬水」、それらが少ない水は「軟水」と呼ばれます。日本は国土が狭く、川が急峻で短く、そして降雨量が多いが故に、ミネラルを含有しにくく、よって全体的に軟水傾向です。硬水で有名な「灘の男酒」(対義語は、「伏見の女酒」)であっても、その硬度は約100 mg/Lです。

 一方、この日本酒の仕込みに使用される水は硬度が約250 mg/Lと、エヴィアンに匹敵するほどのずば抜けた硬水です。硬水は酵母の栄養源であるミネラルを多く含むため、発酵が盛んとなり、一般的に日本酒に硬さや力強さをもたらしますが、このお酒は超硬水により発酵が盛んになるところを、低温で発酵を抑えつつゆっくりと時間をかけて(醪日数32日)醸しているものです。

 しかも、このお酒は現在奈良県のみで栽培されている酒造好適米である「露葉風(つゆはかぜ)」を使用しています。SAKE DIPLOMA試験勉強でも習いましたね。

 精米歩合80%なので米の香りが強く出そうなものですが、吟醸香が結構しますね。使用酵母は不明ですが、バナナ・メロンといった酢酸イソアミルが主であるものの、黄色いリンゴ・洋ナシといったカプロン酸エチルの香りも共存します。アカシアに近い花の香りもしますね。炊いた米のような香りはなく、つきたての餅や白玉団子のような上品さがあります。あと、一番の特徴はやはり超硬水を使用していることもあり、シャープな硬い「石灰」の香りがするという点です。

 この「超硬水」と「露葉風」という激レア商品と合わせるのは、もちろんというか「奈良漬」でしょう。食事もお酒も地元のもの同士で合わせるのは鉄則です。相性がいいのに決まっているのですから・・・実際に合わせてみると予想以上のグッドマリアージュ!!!

 6連勤・週1休の私を癒してくれるのは、このような細やかな楽しみです。明日からまた頑張りましょう!!!