「日本酒」と「人」

  • 2024.09.16

 SAKE DIPLOMA 2次試験(テイスティング&論述試験)まであと3週間となりました。  私は日本酒が趣味と誤解されがちなのですが、今までも何度も書いている通り、私にとって日本酒は決して趣味ではありません。そのような一面もあるかもしれませんが、少なくともそのような言葉で説明し尽せるものではありません。  それには理由があります。その一つは、常にチャレンジ精神を失わないという自分へのプレッシャーという一面です。クリニックを経営する上で、これまでもそしてこれからも数々の困難が降り...

関節リウマチと肝臓

  • 2024.09.14

 「肺」「腎」に続いての臓器シリーズ第3弾です。今回は「肝臓」についてお話をしましょう。  肝障害は、抗リウマチ薬の副作用としてしばしばみられるものです。そのため、薬剤の添付文書にては定期的に肝機能をチェックするようにという文言が入っています。  例えば、イグラチモド(ケアラム®)では、「本剤投与前には必ず肝機能の検査を実施すること。また、投与中は臨床症状を十分に観察するとともに、投与開始後最初の2ヵ月は2週に1回、以降は1ヵ月に1回など定期的に肝機能検査を行うこと」、サラゾスルフ...

関節リウマチと腎臓

  • 2024.09.13

 前回は、関節リウマチ(RA)と肺について書きました。今回も臓器との関連でお話したいと思います。  腎臓(じんぞう)は「尿」をつくる臓器です。体にとって不要な水分や老廃物を腎臓で「尿」という形にし、尿管から膀胱、そして尿道を介して体外に排出するわけですね。薬物の代謝産物も、その多くは尿中に排泄されます。  RAのアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)も、主に腎排泄型の薬剤です。腎臓の働きが低下していると、MTXの体外への排泄が低下する結果、MTXの血中濃度が上昇し、副作用...

関節リウマチと胸のレントゲン

  • 2024.09.11

 読者の関節リウマチ(RA)患者の皆さん、胸のレントゲン(胸部Xp)は定期的に撮影されていますか?1年に1回は胸部Xpを撮影することが重要です。それは、RAは関節炎だけを呈する疾患ではないからです。RAでは全身の色々な臓器に障害をきたすことがありますが、その代表臓器が「肺」です。  RAでは間質性肺疾患や気管支拡張症などの肺や気道病変をしばしば認めます。また、非結核性抗酸菌症(雑な言い方をしますと、結核菌の親戚のようなものです)の合併も非RA患者さんと比較すると多いことが知られています。...

メトトレキサート・・・本当にその量でいいのか?

  • 2024.09.10

 今回は久しぶりにお薬のお話をしようと思います。関節リウマチ(RA)診療におけるアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)についてです。  「関節リウマチ診療ガイドライン2024」にも明示されている通り、RAの診断がつけばまずMTXの使用を検討します。しかし、そのMTXの使い方に熟知していなければ、そのポテンシャルを十分に発揮することができません。今回はその点について言及したいと思います。  従来型合成抗リウマチ薬(csDMARD)には、10種類以上の薬剤が保険収載されていま...

「病院に来て触ってもらうことがないなんて今まで一回もなかったのに」

  • 2024.09.09

 今回は、患者さんからの言葉をそのまま引用させていただきました。ある病院から当院へ転院されてきた患者さんです。  その患者さんが言われるには、今まで何らかの理由で体調を崩し医療機関を受診すれば、触診や聴診が必ずあった。しかし、関節リウマチを発症して前医の病院をかかるようになってからは、一回も触診がない。検査結果とレントゲンだけをみて判断されていましたと・・・  同じ医師として本当に悲しく情けない気持ちになってしまいました。  関節リウマチ(RA)診療では、触診は基本中の基本で...

日本酒検定1級受験

  • 2024.09.08

 本日は、湖北医師会の休日診療当番でした。コロナの流行は少し下火になっているのでしょうか?非常に落ち着いた一日でした。  さて、先日、日本酒検定1級試験を受けてまいりました。昨年の12月に3級を受け、2級、準1級と一歩ずつクリアしての最終関門です。1級は50問中85%以上の正答率、つまり43問以上の正答で合格になります。  言い訳ですが、今回は試験の準備があまりできず、半年前の準1級受験時の知識を思い起こすので精一杯・・・地味に落ちるのではという一抹の不安を抱えながらの受験でした。...

あなたの主治医は「関節」しか診ない人ですか?

  • 2024.09.06

 関節リウマチ(RA)という疾患は、関節内の滑膜に炎症(関節内滑膜炎)をきたす疾患です。したがって、「関節」をしっかり診ることが重要です。心臓や肝臓は1つ、肺や腎臓は2つしかありませんが、「関節」は非常にたくさんあるわけですので、1ヶ所や2ヶ所だけ診ればよいというものではありません。日常診療では40以上もの関節を一つずつ触診し、適宜関節エコーをあてるという作業を限られた診察時間の中でスピーディーに行う必要があります。  最近のブログ記事には、「関節」を診ることの重要性について繰り返し述べ...

関節リウマチの状態はリウマトイド因子の値で判断してはいけません!!

  • 2024.09.03

 ほとんどの患者さんは、関節痛がないとRAの「状態が良い」、関節痛が強いとRAの「状態が悪い」と判断されます。しかし、実際のところは、関節痛がないからといって必ずしもRAの状態が良いとは限りませんし、関節痛が強いからといって必ずしもRAの状態が悪いとは限りません。  強い関節炎があっても関節痛がない、あるいはほとんどないといったことは、特に足趾(足の指)の付け根の関節(MTP関節)でしばしばそのような傾向が見られます。  また、関節痛が強くてもその原因が、変形性関節症やいわゆる更年...

「契約」

  • 2024.09.03

 作為の結果も不作為の結果も全て自らの責任である。それが経営者である。  私は中高6年間カトリックの学校で学んだ。週1回「宗教」の時間があった。新約聖書の教えには、「与えることによって与えられ、許すことによって許され・・・」このような言葉があったように記憶している。  学校の道徳の時間で学ぶことあるいは、宗教の時間で学ぶこととは反するが、経営をしていると、人を信じないということの大切さも学ぶ。  そこからフラットな判断基準が生まれる。人の評価は単純明快である。 ...