足、足、足、足、足
- 2024.09.20
今日はこんなタイトルです。「足」という漢字がこれだけ並ぶと、その成り立ちが気になってしまいました。「口」の部分が胴体を表しているのでしょうか?そして、その下の部分が下肢を表現しているのでしょうか?
まあ、前置きはどうでもよいことです。ここからが本題です。今日は改めて、関節リウマチ(RA)診療における「足」の診察の重要性についてお話をしたいと思います。
まず、医学的に「足」というと、足関節(足首)より末梢(先)の部分を指します。決して、大腿(ふともも)や下腿(すねやふくらはぎ)を「足」とは呼びません。
RAでは、距腿関節(足首の関節)、距舟関節や楔舟関節(足背の関節)、中足趾節間関節(MTP関節:足の指の付け根の関節)にしばしば炎症が生じます。その中で、最も関節炎をきたす頻度が高いのはMTP関節です。MTP関節は手指や手関節同様、RAでは関節炎を生じやすい部位になりますので、1年に1回ぐらいの頻度で、手のレントゲンだけではなく足のレントゲンも撮影することが重要です。
また、MTP関節の中では、第5趾(小指)が発症初期から炎症を生じやすいことも知られています。したがって、リウマチ医は足の診察も欠かさず行う必要があり、特にMTP関節、そしてその中でも第5趾に注意して診察にあたらなければなりません。
足は痛みの感覚が比較的鈍いため、高度な関節炎を生じていても患者さんはほとんど痛みを感じない、あるいは全く痛みを感じないということがしばしばあります。関節炎が高度であっても、患者さんからの痛みや腫れの訴えがなければ、リウマチ医が足の診察をしない限り、それは見過ごされてしまうことになります。その結果、知らず知らずのうちに関節破壊が進行し、いつの間にか関節の変形をきたしてしまうのです。
私は、関節破壊のリスク因子である抗CCP抗体陽性患者さんの足の診察は、診察の度に毎回行っています。触診でははっきり関節腫脹が捉えにくい場合や、MTP関節にすでに骨びらんをきたしている場合には、関節エコーを積極的に利用し正確な判断に努めています。
読者のRA患者さんは、主治医の先生に足を診てもらっていますか?足に対する意識が高いかどうかは、リウマチ医の診療レベルを推し量る上での一つの指標と言えるでしょう。仮に足の症状を訴えても、主治医が全く足を診ない、触診しない、関節エコーをしないとなれば、それはあなたが決断をしなければいけない時でしょう。