関節エコーが教えてくれること

  • 2023.06.25

 当ブログで関節エコーは『リウマチ医にとっての聴診器』というお話は繰り返ししてきました。しかし、関節エコーを日常診療で使用しているリウマチ医がまだまだ少ないという現状があります。その一番の理由は、関節エコーを使いこなすには手技の習得が必要であり、その手技の習得にそれなりの時間を要するということです。しかも、恵まれた環境でなければ、それを教えてくれる人が身近にいないという点が、関節エコーの普及の大きな障壁となっています。  かくいう私も、周りにそのような人がいないので、関節エコーの本を何冊...

アクテムラ・ケブザラ投与中、どのようにして関節リウマチを評価するのか?

  • 2023.06.18

 生物学的製剤(BIO:通称バイオ)は強力な抗リウマチ作用を有します。メトトレキサート(MTX)などの従来型合成抗リウマチ薬投与で効果不十分と判断された場合、その使用を考慮するものです。  BIOには作用機序の異なる3系統(TNF阻害薬・IL-6阻害薬・T細胞選択的共刺激調節薬)の薬剤があり、後続品であるバイオシミラーを除くと、9つの先行品があるのですが、IL-6阻害薬には、アクテムラとケブザラの2つの薬剤があります。  当ブログで、「CRPが正常であっても、関節リウマチ(RA)の...

本日市民公開講座でした。

  • 2023.06.11

 本日は生憎の雨でして、参加いただいた方は予想より少なく・・・  とはいうものの、参加いただいた方には少しでも良い情報を持ち帰っていただくべく講演致しました。皆さんの反応を正確に推し量ることは難しいのですが、その反応からは関節の触診をしていない医師が多い印象を受けました。  『関節の触診なくして、リウマチ診療なし』触診は、リウマチ医にとって本当に基本中の基本なのですが、それができていないというのは、医師の責任ですね。しかも、医師がその責任を自覚していないというのが大問題なのです。リ...

関節リウマチと回帰性リウマチ

  • 2023.06.09

 『リウマチ』というと通常は『関節リウマチ』のことを指しますが、疾患名に『リウマチ』というワードを含むものは決して『関節リウマチ』だけではありません。  関節リウマチに血管炎の病態を合併した悪性関節リウマチや、リウマチ性多発筋痛症、回帰性リウマチというものがありますが、ここでは回帰性リウマチについて触れたいと思います。  回帰性リウマチは、関節炎の発作を周期的に繰り返す疾患です。その周期は数ヶ月と長いものから2~3週間と短いものまでケースバイケースなのですが、関節炎は通常3~4日長...

指先から数えての第1関節が腫れたら、へバーデン結節(変形性関節症)だけでなく、『乾癬性関節炎』も想起を!

  • 2023.06.04

 手指は関節リウマチ(RA)の好発部位です。「手指のこわばりでしっかり握りこむことができない」「手指の節が痛い・腫れる」といった症状が、RAの主訴として最も多いものです。  中手指節関節(MCP関節:指の付け根の関節)や近位指節間関節(PIP関節:指先から数えての第2関節)が好発部位であり、遠位指節間関節(DIP関節:指先から数えての第1関節)は稀とされています。RAでもDIP関節に痛みや腫れが全く出ないわけではありませんが、DIP関節だけでなくMCP関節やPIP関節にも痛みや腫れがある...