関節リウマチと回帰性リウマチ

  • 2023.06.09

 『リウマチ』というと通常は『関節リウマチ』のことを指しますが、疾患名に『リウマチ』というワードを含むものは決して『関節リウマチ』だけではありません。

 関節リウマチに血管炎の病態を合併した悪性関節リウマチや、リウマチ性多発筋痛症、回帰性リウマチというものがありますが、ここでは回帰性リウマチについて触れたいと思います。

 回帰性リウマチは、関節炎の発作を周期的に繰り返す疾患です。その周期は数ヶ月と長いものから2~3週間と短いものまでケースバイケースなのですが、関節炎は通常3~4日長くても1週間で完全に治まり、関節炎の発作と発作の間は全く無症状というものです。関節炎発作を繰り返すという点で、痛風や偽痛風(CPP誘発性関節炎)との鑑別が重要です。

 回帰性リウマチの中には、徐々に関節炎発作が頻回そして持続性となり、関節リウマチに移行する例があります。特にリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が高値の場合は要注意で、回帰性リウマチが関節リウマチ発症の前段階となる場合があります。

 回帰性リウマチであれば通常NSAIDs(痛み止め)のみで経過をみますが、関節リウマチへ移行したと判断すれば抗リウマチ薬が必要です。その移行のタイミングを見極めることも我々リウマチ専門医の仕事でして、私の場合、回帰性リウマチの方には2~3ヶ月に1回は通院いただき、関節炎が持続性になっていないのかどうか確認をします。これは決して痛みがあるかどうかという自覚症状だけでの判断ではなく、触診はもちろんのこと関節エコーも使用し判断します。

 関節の痛みと腫れを周期的に繰り返す方がおられましたら、是非リウマチ専門医を受診して下さい。回帰性リウマチという疾患が隠れているかもしれませんし、その中には「関節リウマチ予備軍」の方ががおられるかもしれません。