白衣・・・権威の象徴
- 2022.06.18
「この隧道の中の汽車と、この田舎者の小娘と、そうして又この平凡な記事に埋っている夕刊と、―――これが象徴でなくて何であろう。不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて何であろう」(蜜柑:芥川龍之介)
「医師が白衣を着る」―――医師になってから、というよりも医学生の頃から、あまりに当然すぎて疑う余地もなかったことである。しかし、開業してから「なぜ医師は白衣を着るのか?」という疑問が頭を擡げるようになった。自分にとっての答えを探してみたが、適当なものは見つからなかった。結論は、医師にとって権威の象徴でしかないということである。
私は、戦国Tシャツと足袋というスタイルで診察をしている。象徴などというものは私には要らない。他人には打てない程の出る杭となれば、幼少時からの孤独感はきっと幸福感となるのであろう。(主)