ワークライフバランス
- 2025.10.09
自民党に女性初の総裁が誕生した。その際の会見でのワークライフバランス(WLB)発言が、本人の意図とは別に「独り歩きした形で」物議を醸しているようである。今回はそれについて述べてみよう。
WLBについては、『「つおい」(2025.05.29)』『ロッククライミング(2025.06.04)』でも書いたが、大前提として経営者とそれ以外の人とでは生きている世界・次元が全く異なる。「開業医だから楽して儲けているでしょ?」などというとんでもない勘違いをしている人がいるとすれば、私の1週間を「体験実習」してみればよい。全員が土下座して謝ることになるだろう。
私は朝6時前からクリニックで仕事をしていると何度も述べているが、週1回の当直業務を含めれば、週当たりのクリニック・病院での業務時間は73時間以上である。もちろん、ダラダラする時間などなく、夜間に心肺蘇生をすることもある。そして、在宅での業務も含めれば80時間以上となる。つまり、労働基準法の法定労働時間である40時間の2倍以上働いているということになる。
1ヶ月4週間で単純計算すれば、月160時間以上の時間外労働になる。これは過労死ラインと言われている月80~100時間を大きく超えている。もちろん、経営者であるから労働基準法は適用されないので何の問題もない。
では、私は不健康であるかというと決してそんなことはなく、当院スタッフの誰もが呆れるほど元気であり、「元気で何よりです」が口癖となっている。私はこの生活を辛いと思っていないし、特別努力しているとも思っていない。「当たり前」と思っている。そして「エンジョイ」している。他人の「当たり前」とは全く別次元の「当たり前」を日々積み上げることにより、他人には見ることができない景色を自分だけが見られる日を楽しみにしている。
経営者は日々とんでもないストレスに晒される。現に自ら命を絶つ経営者もいる。クリニック経営者であれば、スタッフや患者さんから批判されるのは日常茶飯事であるが、それを「特権」「御馳走」と捉えることができなければ潰されてしまうだろう。負の感情が生じても「脳の錯覚」と捉えプラスに変換すること、また普通のことでさえも「脳の錯覚」を利用してプラスに変換すること、つまり総じてプラスに変換するという「セルフマインドコントロール」を手に入れられるかどうかだ。これは、命を取られるかもしれないという修羅場を経験することにより、自己防衛反応が働いた結果私が手に入れたものだ。
この文章は経営者以外の人には絶対に分からないし、経営者でもごく一部の人にしか理解できないだろう。私は人とは全く異なる世界で生きているので、他人に理解を求めない。何度も述べてきたが承認欲求を持つと理解されないという孤独に陥った時に命を持っていかれる。これからも孤高の境地をどんどんと進んでいこう!