メトトレキサート皮下注製剤への期待
- 2023.01.15
年明け後、体調が好転する気色の見えない中、その頭の中を埋め尽くすものもまた、読者の想像に難くないであろう。医療・医学以外の部分に時間を割き、頭を悩ませなければならないことが多い(というかほとんどかもしれない)今日この頃である。
そのような中、現在の自分の頭の中にある「医療・医学」の面について書いてみようと思う。
昨年11月にメトトレキサート(MTX)皮下注製剤が発売された。MTX皮下注製剤は、当院でもすでに3例使用しているが、内服と比較した時の最大の利点は「嘔気などの消化器症状の軽減」であろう。あれだけMTX内服後の嘔気に苦しんでおられた患者さんが、皮下注製剤に変更後、嘔気が大幅に軽減(中にはゼロに)するというのは、処方医からしても大きな驚きである。
嘔気の軽減以外の面で、個人的に期待していることが二点ある。
一つ目は、MTX10~12mg/週内服でも効果不十分の場合、ガイドライン上、生物学的製剤(BIO)やJAK阻害薬(JAKi)の使用を検討することになるが、MTX皮下注12.5mg/週や15mg/週への変更にて効果が期待できれば、患者さん負担および医療経済的にメリットとなりうるのではないか?
二つ目は、高疾患活動性の患者さんに対し、MTX内服ではなくMTX皮下注で導入し忍容性を確認しながら早期に増量を行った場合、MTX内服と比較し早めの効果発現が期待できるのか?
1999年にMTX内服製剤が発売され20年以上・・皮下注製剤の登場により、「古くて新しい薬」が今後のガイドライン策定にも影響を及ぼすものではないかと期待している。(主)