権座

  • 2025.05.08

 「権座」は琵琶湖の内湖である西の湖に浮かぶ島状になった田んぼです。今年3月まで近江八幡で外勤をしていましたが、その通勤時にはいつもその近くを通っていました。

 権座では、滋賀県の酒造好適米(酒米)の一つである「滋賀渡船6号」が栽培されています。権座は島になっていますので、田植えや稲刈りに必要な機械や収穫したお米などはすべて舟で運ばれます。

 それだけでも大変でコストがかかるのですが、「滋賀渡船6号」は「長稈渡船」とも呼ばれ、背丈が高く耐倒伏性という面で難があるため栽培が難しいのです。しかも、最近の異常気象の影響でなおさら・・・

 権座で作られた「滋賀渡船6号」を使って醸された「権座」は非常に希少なお酒です。私は昨年は「権座」を飲む機会に恵まれず、今回2年ぶりになります。これだけ希少なお酒にも関わらず、4合瓶で1815円!!大変ありがたいことです。ラベルは西の湖産のヨシが使われています。

 渡船6号の特徴を一言で表すのであれば「力強い」です。バナナといった酢酸イソアミルの吟醸香が主であるものの、速醸系酒母ですが生酛のようなクリームチーズや発酵バターの香りも併せ持ちます。甘味はふくよか、酸味はしっかりしていて苦みはコクを与える・旨味をともなった、バランスは豊潤で厚みがあり、余韻はやや長いといったところでしょう。

 「権座」は滋賀の魅力を伝えてくれるお酒の一つでしょう。人はどうしても他人と比較してしまいがちです。経営者は他人と比較するのではなく、ただひたすらに自らが信じる道を邁進しなければなりません。滋賀県民として地元の良さをしっかり知るということは、自己肯定感とも繋がるものではないでしょうか?