関節エコーが教えてくれること

  • 2023.06.25

 当ブログで関節エコーは『リウマチ医にとっての聴診器』というお話は繰り返ししてきました。しかし、関節エコーを日常診療で使用しているリウマチ医がまだまだ少ないという現状があります。その一番の理由は、関節エコーを使いこなすには手技の習得が必要であり、その手技の習得にそれなりの時間を要するということです。しかも、恵まれた環境でなければ、それを教えてくれる人が身近にいないという点が、関節エコーの普及の大きな障壁となっています。

 かくいう私も、周りにそのような人がいないので、関節エコーの本を何冊も買い込んで、エコーを当てては本を読んで確認し、そしてまたエコーを当てる・・・最初はものすごく時間がかかりながらも、そんな自学自習を数年積み重ね今日に至ります。今となっては1日あたり15例ほどの関節エコーを行っています。

 関節エコーが普及しない他の理由としては、関節エコーをしたことのない医師による「関節エコーなんてなくても別になくてもいいんじゃないの?」という無知あるいは無理解が一定の割合であるように思います。人間誰しもが新しいものを見た時に、それを受容する心よりも反射的な拒否反応が先行するのは仕方がありません。私も関節エコーを始める前はそうでした。しかし、始めてみると今まで見えなかったものが可視化される(触診では関節の中が見えるわけではないので当然ですが)わけですから、今までボンヤリとしていた理解が非常にクリアになるわけです。

 中には誤解していたことが解けることもあります。その最たるものが、『CRP・赤沈・MMP-3が全て正常だからといって、関節に炎症がないとは言えない』ということです。これは、ホームページでもブログで何度も力説していることですが、残念ながらほとんどの医師がCRP・赤沈・MMP-3が全て正常であれば関節炎はないと間違った解釈で患者さんに説明してしまっています。関節エコーをしたことがない医師が陥ってしまう罠なのです。患者さんはまさか医師が間違った解釈で説明しているなんて思いもよらないわけですから、患者さんもそのように理解をします。つまり、ほとんどの医師だけでなくほとんどのリウマチ患者さんもまた誤った解釈をしているということです。

 私が診ているリウマチ患者さんで関節エコーをしたことのない方は誰もいません。他院通院中でこのブログを読んでくださっている患者さんはどうでしょうか?関節エコーをしてもらったことはありますか?私のクリニックには福井県や京都府からも通院してくださっている方がおられますが、長浜・彦根・高島など近隣にお住いの方で関節エコーに興味をお持ちの方はお気軽に当院へご連絡ください。紹介状はなくても結構です。一度じっくりと評価させていただきます。