テイスティングとリウマチ診療

  • 2024.02.12

 SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)資格取得に向けて、先日テイスティング用グラスを購入しました。テイスティング試験では、「外観」「香り」「味わい」が問われ、特に「香り」では52項目の中から8~12種類を選択する必要があり、点数配分も高いものになっています。

 テイスティングというと、GACKTさんが出演している芸能人格付けチェックのようなものを想像されるかもしれまん。しかし、テイスティングの練習をしながら感じることは、「テイスティングは単なる当てものではない」ということです。

 テイスティングは、それそのものが目的ではなく、手段の一つに過ぎません。私は日本酒をテイスティングする時には、その酒造さんのホームページに目を通します。決して商品だけを閲覧するわけではなく、『心』を見ようとします。米・水に対する想い・拘りや今までの苦労までもが見て取れます。テイスティングという解剖学的作業により、杜氏を始めとした蔵人がどのような想いを込めてそのお酒を造ったのかというメッセージを汲み取ることが重要だと思うのです。

 翻って自らの仕事で言えば、関節リウマチ診療を通じて、どこまで患者さんを人として理解できるのかということになります。診療というものはあくまでツールにしか過ぎず、人としての患者さんの理解に直結するものではありません。ましてや、10-15分程度の限られた診療時間の中でそれが適うものでもありません。

 しかし、人の理解というものは一方向性ではなく双方向なものです。最近の私はブログにあまり疾患のことを書いていません。読んでいただければ分かると思いますが、『人』のことを書いています。ブログは読み手の反応が分からない一方向性のものです。しかし、私のブログを読んでくださった患者さんが、診療という場を通じて私を理解しようとしてくれたとすれば、双方向性となります。

 診療とは、医師が患者さんを理解する場であると同時に、患者さんが医師を理解する場ではないかと思うのです。