隠された心

  • 2024.10.19

 「第26回 日本骨粗鬆症学会」(2024.10.13)に登場する「農口尚彦研究所」のお酒(本醸造と酒粕焼酎)が届きました。

 「特定名称酒」には、「大吟醸」「吟醸」「特別本醸造」「本醸造」「純米大吟醸」「純米吟醸」「特別純米」「純米」の8種類があります。

 さて、この写真のお酒は「本醸造」になります。このラベルを試験問題と見立てて、白紙の解答用紙を埋めていきましょう。

 まず、本醸造の無濾過生原酒(濾過せず、火入れを一度もせず、割水もしていない)ってすごく珍しいと思いますし、私はそういうお酒に出会うのは初めてですね。つまり、そういうものを「敢えて」作ろうとした杜氏(ラベルつまり試験問題の作者)の意図が何かあるはずです。

 瓶詰から出荷までに2年半以上経っていますので、それだけの期間熟成させたお酒ということになります。熟成といっても単に常温で貯蔵すればよいというものではありません。「生酒」ですから劣化が早く、家庭用の冷蔵庫の温度で貯蔵したとしても劣化は進みます。0℃前後ぐらいで品質管理を徹底し貯蔵したと思われますが、このお酒は限定品ではなく通年の定番商品(つまり出荷本数が多い)であることから、手間暇およびコストが大変かかっていると推測されます。

 ちなみにこのお酒は精米歩合60%ですから、「特別本醸造」を名乗ることもできます。これだけ手間暇とコストをかけているのであれば、「本醸造」と名乗るよりも「特別本醸造」と名乗る方が普通のように思います。にも関わらず「本醸造」にした理由はなにか?

 これは私の推測でしかないのですが、「我々にとっては、こんな技術は別に特別でも何でもないですよ」という杜氏のメッセージのように思うのです。わざとアピールしていないメッセージを汲み取るって難しいですよね・・・

 このように、まるで国語の試験のように、ラベルから、空白の解答欄に筆者(作者)の考えを想像しそれを埋めていく作業が楽しいんですよ。当たっているのかどうかは分からないですけれども、これが一昨日のブログの「慮る心」に繋がると思っています。