「患者さんの幸せのために」: 「拘り」
- 2024.11.11
今回も本日の朝礼の内容を投稿しましょう。
私が開業する数年前から続けていることがあります。それは、患者さんを診察室に呼び入れる際に、自ら診察室の扉を開けるということです。最近では、ボタン一つで診察の順番がきたことを電光掲示板に知らせるシステムを採用している病院が増えています。私の診察についている診療補助者がいないがために、仕方なく始めたことがきっかけなのですが、私は今でも自ら扉を開けるようにしています。
自ら扉を開けるようになって気付いたことがあります。ある人を呼び入れようとして扉を開けるわけですが、待合室におられる他の患者さんの表情も目に入ってきます。「(診察は)まだかまだか」という視線が多く、プレッシャーを感じるのですが、その中には普段と明らかに異なる表情・姿の患者さんもおられます。その表情・姿を見た時に、すでに診察が始まっているのです。また、普段一人で来院される患者さんの傍に付き添いの方がおられた場合、ほぼ100%の確率で「体調が普段と異なる、あるいは治療方針に納得されていない」ということも汲み取れます。
また、患者さんが椅子から立ち上がるスピードや眉間の皺の程度で痛みの度合いを推測することができますし、診察室に入るまでの歩き方で左右どちらに痛みがあるのかも分かります。
このようにたった数秒の間に、感覚を研ぎ澄ますことで患者さんについての多くの情報を得ることができます。また、そもそも、杖をついておられる患者さんは、自身で診察室の扉を開けることが難しいわけです。
皆さんは、仕事での「拘り」って何かありますでしょうか?上述した私の拘りは、別にその行為で自らの給料が上がるわけでもありませんし、誰かに褒められたいと思っているものでもありません。別に見返りなどいらないのです。ただ単に自分で大事だと思うから続けているだけなのです。自分はプロでありたいと思っています。だから当たり前のようにやるだけなのです。モチベーション・・・それは自らの心の中にしかありません。