メトトレキサート(MTX)の開始量と増量

  • 2024.12.20

 メトトレキサート(MTX)は関節リウマチ(RA)と診断された場合、まず投与を考慮すべき薬剤、つまり第一選択薬の位置付けです。

 『関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き(2023年版)』から抜粋したものを以下に載せます。

・MTXは原則、経口投与では、6~8mg/週で開始する。

・特に、予後不良因子をもつ非高齢者では、8mg/週で開始することが勧められる。

・高疾患活動性、予後不良因子をもつ非高齢者では、2週ごとに2mgあるいは4週ごとに4mgずつ迅速に増量してもよい。

・皮下投与では、7.5mg/週で開始する。

・皮下投与では、通常、4週を目安に2.5mgずつ増量してもよい。

 このブログを読んでくださっているRA患者さんの中で、最近診断されたばかりの方もおられると思います。ここで私が言いたいことは、MTXの開始量およびその後の増量の仕方で、そのリウマチ医の実力をある程度計ることができるということです。

 私の場合には、MTXは原則として8mg/週で開始し、2週間後には12mg/週へ増量します。

 MTXの効果判定は、薬剤開始3ヶ月後に行いますが、MTXの開始量が少なく、増量スピードが遅いと(例えば、4mg/週で開始して、1ヶ月後に6mg/週、2ヶ月後に8mg/週と、口は悪いですがチンタラチンタラ増量・・・)、もし、3ヶ月経っても効果が十分出ていない場合には、その判断が困難となります。

 それは、MTXの投与量が中途半端であるから効果が出ていないのか、MTXを十分量投与したとしても効果が出ないケースなのか分からないからです。

 経験豊富なリウマチ専門医は、MTXの使い方を熟知しています。もし、MTXの開始量が少なく、その後の増量も遅々として進まないのであれば、おそらくその副作用を過度に心配し、MTXをしっかり使いこなせない医師でしょう。皆さん、自らの処方内容を改めて確認してみましょう。