車窓(続編)

  • 2022.11.18

 名古屋駅から松本駅まで、特急「しなの」で約2時間・・・

 車窓からの眺めは、都会のビルから徐に田園風景となり、中津川駅を過ぎてからは眼下に木曽川を望む。上流に進むにつれ、川原の石はどんどんと大きくなり、岩のようなものがゴロゴロと点在している。吊り橋も所々に架かっている。

 薄暮の中、眼下に見える景色は、まさにその時の私の心持ちと似つかわしいものであった。芥川龍之介の「蜜柑」の書き出しに見られる主人公を思い出した。(「蜜柑」:芥川龍之介、2022.10.23ブログ)と同時に、幼稚園児の時に過ごした奈良県天川村の景色を思い出していた。

 食料や日常生活品を揃えるのも、決して簡単ではないであろう。冬季になって雪が積もれば尚更である。なぜ人はこのような不便なところで生活をするのか?先祖代々から守るべきものがあるからなのか?そもそも、不便というのは私の思い違いで、人々の心は満たされているのかもしれない。少なくとも今の私よりも・・・

 提供できる医療も限られているだろう。車窓から見える家々の中には、関節リウマチの方もきっといるに違いない。一体、どのような治療を受けているのだろうか?生物学的製剤やJAK阻害薬とは無縁の、ステロイドやNSAIDだけの治療なのかもしれない。そうであったとして、人々は不幸なのだろうか?それでも人々が幸せに生活しているとすれば、私が目指そうとしていることは、本当に人の幸せに寄与するものだろうか?考えれば考えるほど、頭の中は混乱する・・・

 そんな中、木曽川上流には、黒色の墓石が多いことに気付いた。帰ってからじっくりとその原因を調べてみよう。(主)