内面的なことを久しぶりに書きました。

  • 2023.04.14

 私のブログには何度か芥川龍之介が登場している。

 芥川の作品は、『蜘蛛の糸』にあるようにガラス細工のような精巧かつ美しく繊細な作品があるかと思えば、『歯車』のように自らに迫り来る死というものに対する戦慄が表現されたものもあるし、創作における自尊心を主人公である滝沢馬琴に自らを投射した『戯作三昧』など、これほどまでに作風の異なるものが一人の人間によって書かれたという点が私を魅了するのであろう。

 『或日の大石内蔵之助』での「微に漂っている墨の匂いを動かす程の音さえ立てない」などという表現は、仮に生まれ変わってまた人間になったとしても思いつかないフレーズである。芥川の「静寂さ」の表現には、空間的な静寂と心理的な静寂の二面性が常に存在している。

 芥川の代表的な顔写真からは、ジャックナイフのような鋭さを持った理知が見て取れる。このような人が私の傍にいれば、きっと私の心ももっと満たされたものになるのであろう。