リウマチの薬は減らせる?
- 2023.05.02
関節リウマチ(RA)が、『寛解(かんかい)』という良い状態を維持できた場合、「お薬を減らせないのかなぁ?」とか「高い注射の薬(=生物学的製剤)の投与間隔を延ばせないのかなぁ?」といった思いを抱かれる方も多いと思います。
抗リウマチ薬の減量や生物学的製剤の投与間隔延長(=スペーシング)はどのような基準で行うのでしょうか?まだ明確な基準がないのが実状なのですが、一番やってはいけないのは、痛みのあり・なしだけを基準にお薬を調整することです。確かに痛みがないということは大事なことなのですが、痛みがないからといって、そこに炎症がないとは限りません。
薬剤の減量やスペーシングを検討する際にも、やはり触診が重要です。関節の滑膜に炎症を起こしていれば滑膜が肥厚し、それが触診で関節の腫れとして捉えられるわけです。つまり、関節が腫れているということは、そこに炎症があるという傍証になります。痛みがあまりなかったとしても、関節の腫れがいくつも残っている状況であれば、薬剤の減量やスペーシングどころか、むしろ治療強化を検討しなければいけません。
薬剤の減量やスペーシングにおいても重要な役割を果たすのが、関節エコーです。触診では捉えきれない炎症も、関節エコーでは捉えることが可能です。触診だけでなく関節エコーでも「炎症なし」と判断できれば、薬剤の減量やスペーシングの十分な根拠になると考えます。
当院では、寛解を維持されている方に対しては、触診と関節エコーで「炎症なし」と判断すれば、慎重にではありますが薬剤の減量やスペーシングを行っています。