『触診』の重要性が患者さんに伝わらない理由とは?

  • 2023.05.01

 関節リウマチ(RA)の診察において、関節の『触診』が最も重要であることは、当ブログで何度も書いてきました。しかし、RA患者さん(当院通院中の方に限らず)の中でそれを理解している方は極少数だと感じます。その一番の理由は何か?・・・

 それは、触診の重要性を認識していないリウマチ医が多いからだと思っています。他院通院中の方が当院へ受診された場合、私は必ず「主治医の先生は診察の時に関節を触っていますか?」と尋ねます。しかし、その答えの多くは残念ながら『NO』なのです。医師がその重要性を認識していなければ、どうして患者さんにそれが伝わるでしょうか?これは、すべて医師の責任なのです。そして、とても根の深い問題なのです。

 以前のブログにも書きましたが、社会において、誤った認識を持った者が多数を占めた場合、それが『善』となり、正しい認識を持ったマイノリティは『悪』となる恐れがあります。これは、非常に恐ろしいことです。周りの認識に流され、自分の目で善悪を判断する力を養わないと、自身が誤った判断をするだけでなく、良識のある人々をいつの間にか排除し追い込んでしまう恐れがあるのです。

 話は大きくなってしまいましたが、『触診』されずに血液検査だけでRAの状態を判断されてしまっている方がゼロになる日が来ることを私は毎日願っています。