関節リウマチと総合内科

  • 2023.05.13

 多くの関節リウマチ(RA)患者さんが私のブログを読んで下さっているかもしれませんが、あなたの主治医は整形外科医ですか?内科医ですか?皆さん答えられますか?

 『関節リウマチ』というと整形外科というイメージを持たれている読者も多いかもしれません。確かに、私のいる滋賀県でも一部の施設を除いてRA診療を担っているのは整形外科医なのですが、日本リウマチ学会員の多数を占めるのは、実は内科医なのです。実際、東京などの都市部では、RAを診ているのはほとんどが内科医で、若い整形外科の医師はRA診療を敬遠する傾向にありますし、ほとんどRAを診たことのない医師もたくさんいます。

 その理由として、RAは決して関節だけが障害される疾患ではなく、肺(間質性肺疾患)や腎(アミロイドーシス)など種々の臓器に病変が出る可能性があるため全身を診る必要があるということと、メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤、JAK阻害薬などの抗リウマチ薬の副作用として、感染症などに留意する必要があるため、やはり全身を診る姿勢が必要であるという点にあります。つまり、「関節しか診れんから、他の症状は知らん」というような姿勢では通らないということです。

 こんなことを言うと整形外科医批判のように捉えられてしまうかもしれませんが、決してそうではありません。例えば、名古屋大学の医局に属しておられる先生方と研究会で交流させていただく機会がありますが、整形外科医とは思えないぐらい内科的知識も豊富ですし、薬剤の使い方にも長けておられます。前教授の石黒先生の教育の賜物はスゴイなぁと感じます。また、岐阜県の海津市医師会病院院長の佐藤正夫先生や長野県松本市の丸の内病院で勤務されておられます山﨑秀先生(2022.09.03ブログ:第33回中部リウマチ学会参照ください)も地域のリウマチ診療の心臓を担っておられますので、決して整形外科の先生の批判ではありません。整形外科医であろうが内科医であろうが、結局のところ大事なことは、『患者さんその人をしっかり診よう』というマインドをしっかり持っているかどうかだと思います。

 コロナ禍においては医師同士の研究会も全てオンラインのため交流する機会が皆無でしたが、これからは整形外科医・内科医問わず、志高い医師の先生方と直接交流できる機会が増えることを非常に楽しみにしております。優秀な先生方から刺激を受けることが、日本酒以外の私の唯一の趣味ですから・・・