結実

  • 2024.08.03

 「松下幸之助と稲森和夫氏(その2)」(2024.07.27)で両氏の名言を紹介したが、これはあくまで勝者の論理であり、失うものがない場合にのみ名言と言えるものである。

 トライし続けることで犠牲になるものがあるのであれば、そしてそれが自身だけでなく他人にも及ぶものであったとすれば、それはインパール作戦による白骨街道の如きものであるから、リーダーには不撓不屈の精神のみでなく、常に引き際を見誤ることのない冷静な判断が求められる。

 開業してから2年4ヶ月・・・その相反する視点を持ちながら歩みを続けてきた。

 ここに来て、状況が少しずつ変わってきたように思う。最近は、駆け込み寺のように「ここに来たら良くなるって周りから聞いたので、今日は診てもらおうと思って来ました」と、このようなありがたいお言葉をいただけることが増えてきているように思う。当院を選んでいただいているというのは、私だけではなくスタッフにとっても喜ばしいことであり、自信や仕事のモチベーションにも繋がる。

 しかし、決して慢心してはいけない。他の医療機関ではなく、自分たちに求められているのは何なのか?常にそれを問いながら、周囲との差別化を図らなければ、我々の存在価値はなくなってしまう。

 前回のブログのタイトルは「磨く」だが、感性を磨くことが自分自身の思考に繋がる。鈍感な者は、感じ取ることができないから、考えることができない。そして、考えることができない者に成長はない。感性を磨くことが、プロフェッショナルである上で最も大切なことである。

 臥薪嘗胆の日々から、今、まさに結実に向かおうとしている。