関節リウマチ診断の難しさ(その1)
- 2024.08.09
「結実」(2024.08.03)でも書いたように、他院で関節リウマチ(RA)と診断され治療介入されていているのだが、症状の改善を認めないため、当院を受診される患者さんが最近増えている。
その中には、RAの診断が正しいのだが治療が十分でない方もいれば、そもそもRAの診断が正しくない人もいる。診断が正しくないのだから抗リウマチ薬を投与しても改善するわけがないのである。
具体的な例の一つは、リウマトイド因子(RF)が高値で関節痛があればRAと診断してしまうケースである。実はこのような医師は残念ながら非常に多い。RFは決してRAだけで高くなるマーカーではなく、シェーグレン症候群や全身性強皮症などの他の膠原病でも高値となるし、感染性心内膜炎やB・C型肝炎、また何の病気のない人でも高くなることがある。このことを理解していない医師が圧倒的に多い。そのような医師に当たってしまうと誤診されてしまうのである。
RAと診断するためには、まず関節滑膜炎の存在を証明しなければならない。関節滑膜炎の結果、関節が腫れるので、関節をしっかり触診し関節が腫れているのかどうかを確認することが重要である。つまり、あなたが関節を触診されずにRAと診断されたとすれば、それは誤診に大きく近づいている可能性がある。
触診だけで関節滑膜炎が存在すると簡単に判断できる場合もあるが、困難な場合には関節エコーで関節滑膜炎の存在を確認することが重要である。関節エコーはリウマチ医にとっての聴診器である。当院に通院中のRA患者さんでの関節エコー施行率は100%である。もしあなたが、RAの診断やその治療において一度も関節エコーをしてもらったことがないのであれば、私から言わせればそれは不幸である。
もしあなたが、医師に触診もされず、関節エコーもされず、RFが高いという理由だけでRAと診断されたのであれば、その診断が間違っている可能性は非常に高いと言える。
RAの診断は、多くの医師が思っているほど簡単にできるものではありません。ですから、患者さんには正しく受診する姿勢が求められるのです。勇気を持って・・・