「病院に来て触ってもらうことがないなんて今まで一回もなかったのに」
- 2024.09.09
今回は、患者さんからの言葉をそのまま引用させていただきました。ある病院から当院へ転院されてきた患者さんです。
その患者さんが言われるには、今まで何らかの理由で体調を崩し医療機関を受診すれば、触診や聴診が必ずあった。しかし、関節リウマチを発症して前医の病院をかかるようになってからは、一回も触診がない。検査結果とレントゲンだけをみて判断されていましたと・・・
同じ医師として本当に悲しく情けない気持ちになってしまいました。
関節リウマチ(RA)診療では、触診は基本中の基本です。触診を絶対に疎かにしてはいけません。触診をしても分からないことはありますが、触診をしなければ絶対にRAの状態は分かりません。
私の身体診察では、頚部の触診→心音聴取→呼吸音聴取→40関節の触診がルーチンとなっています。触診後には、個々において重点的に診るべき関節にエコーを当てて関節炎の有無をみます。
私の夢の一つは、湖北・湖東・湖西医療圏(敦賀や関ヶ原エリアも)において、触診をされないRA患者さんをゼロにすることです。触診の重要性を医師に説いてもこれを達成することはまず無理なことなので、このエリアのRA患者さんに我がクリニックへ通ってもらうしかないと本気で考えています。少なくともそのためには、今自分がどうすべきかと逆算しながら働いています。
使命感は責任感とは異なります。先日のブログで「知命」について書きましたが、それは頭で考えてから動くことではなく、本能的に自らを突き動かす持続的な衝動性であり、何かに導かれる宗教性をも兼ね備えたものです。