『茂充先生の息子さん』
- 2022.08.18
木曜日はクリニックの休診日ですが、私は休んでいられません。近江八幡での勤務です。
ある患者さん(80代)の診察後、付き添いの娘様から唐突に、「先生は堅田の宮本診療所さんの息子さんですか?」と聞かれた。お話を伺うと、娘様のお住まいは私の実家の近くで、子供さんが私の父の診療所を幾度か受診されたことがあるとのことであった。
以前の自分なら、ホームページに書いた通り、父との比較に辟易とし、「だからどうしたというのだ」と屈折した思いをしていたに違いないだろうが、今は見えない力や運命的な結びつきというものの存在に驚かされるばかりである。
無医村の天川村を経てgeneralistという選択をした父と、リウマチ科一本の標榜でspecialistとして生きる選択をした私・・・何でも自分でしないと気が済まない父と、周りをどのようにうまく使うかを考えようとする私・・・対照的な二人だが、登っている道は違えど、目指した頂点は同じであったのかもしれない。
患者さんのためという自己犠牲の精神が故、父は頂に辿り着くことができなかった。父の代わりにそこを踏みしめ、そこからの景色を眺めることは、二世が背負う宿命であるのかもしれない。(主)