関節リウマチ治療中の方へ 体調を崩した時どうしていますか?

  • 2024.01.07

 関節リウマチ(RA)治療中に関節の痛みや腫れが強くなってきた場合、ほとんどの方がまずは治療先の医療機関に相談するでしょう。では、関節症状以外の症状が出た場合、あなたはどのような受診行動を取っていますか?

 RA診療ではメトトレキサート(MTX)や生物学的製剤、JAK阻害薬などの「免疫抑制薬(免疫を抑える薬)」を使用することが多く、常に「感染症」の合併に留意しなければなりません。それは、感染症により時に生命が脅かされるような事態が生じることがあるためです。しかし「感染症」といっても、細菌やウイルスが感染する場所(感染源)は様々ですので、その感染源により生じる症状も様々なものとなります。したがって、RA診療に携わる医師には全身を俯瞰的に診る姿勢が求められます。これは今までブログで何度も書いてきた通りです。

 私はRA診療に携わる前はずっと「総合内科」のフィールドで診療をしてきました。それは、内科という領域は循環器内科や消化器内科、呼吸器内科などと細分化が進んでしまっていますが、内科の中のどの専門領域を選択するにしても、まずは全身を診るという姿勢を自分に植え込む必要があると思ったからです。人は心臓だけでできているわけではありません。肝臓や肺だけでできているわけでもありません。自らの診療領域以外の症状に興味を持たないような医師にはなりたくなかったのです。

 感染症合併時に大切なことは、患者さんがその症状に早く気付き適切な受診行動を取ることです。当院では、免疫抑制薬を使用中の患者さんには全員、必ず診療の最後に「コロナやインフルエンザにかかってしまったり、それ以外でも熱や咳など普段と体調が異なる場合には、必ず早めに当院へ電話連絡してください」と説明しています。

 当院の診療システムとして、診察サポート看護師以外に、患者さんからの病状変化に関する電話に対応する看護師がおりますので、しっかりと病状を聞き取り対応をしてくれています。当院看護師はRAについて非常に高度な知識を有しており全幅の信頼を寄せておりますが、決して独断で行動しているわけではありません。その内容は口頭伝達だけでなくすべてカルテに記載し私の承認を得る必要がありますし、即座に受診が必要かどうかの判断に迷う場合も、すべて私が判断をしています。

 RA診療中には様々ことが起こりえます。それらを、「関節とは関係ないから」と言ってしまうと、前述の私の医師としての根幹が崩れ去ることになります。失ってはいけない大事な魂を失ってしまうことになるのです。患者さんをどのように診ていくのか?私自身だけでなく、組織としてスタッフ全員と共有し、これからも良いものを築き上げていきたいと考えています。