関節リウマチ診断の難しさ(その6)

  • 2024.09.01

 関節リウマチ(RA)診断の難しさについてこのように話を進めてきますと、RAと誤って診断されるケースにはある傾向が見えてきます。

 「リウマトイド因子(RF)の値が高いので関節リウマチです」

 もし、RAと診断されている方の中に、医師からこのような説明しか(RAと診断に至った根拠が他にない)受けていないのであれば、RAの診断そのものを疑ってください。

 リウマチ領域に限らず、他の領域においても、一般に信じられていることが正しくないということがしばしばあります。一般的な意見や大勢の意見が決して正しいとは限りません。情報が溢れる現社会においてはまさにその通りで、目の前の情報が正しいのかどうかを自らの目で確かめなければなりません。「多くの人がこう言っているから・・・」「多くの人がこう書きこんでるから・・・」それは、その情報の真偽を判断する上で重視されることではありません。あくまで判断材料の一つです。盲目的に信じ込んでしまうことは極めて危険です。場合によっては、正しいことを主張している者が偽物扱いされることもあります。地動説を唱えたガリレオがその象徴でしょう。

 閑話休題・・・

 RFが高いという理由だけでRAと診断された人・・・ひょっとして私のこと?と思った人・・・

 もし、医師が関節を一つずつ丁寧に触診し、関節エコーまで施行した上での「リウマトイド因子(RF)が高いので関節リウマチです」という診断であったのならば、その診断が誤っている可能性は低いように思います。つまり、関節の触診がなく、関節エコー施行もなく、RAと診断されたのならば、その診断は極めて危ういと言えるのです。

 RAと診断するための最初のステップは、昨日も書いた通り、「関節滑膜炎が存在するかどうか?」ということです。血液検査の結果が第一ではありません。

 多くのRA患者さんを診ていますと、RAの診断の難しさを実感させられます。真のリウマチ専門医(敢えて「真」と書いたのはリウマチ専門医が一律ではないからです)に求められる技量の一つに、診断が難しい非典型的なRA患者さんをいかに救えるか?という点があります。

 非典型的な患者さんは、医療機関をあちこち転々とします。色々な科を受診しても「よく分からない」と言われます。どこに行っても診断がつかない患者さんを救うのが私の使命です。

 「目標RA患者さん1000人」というのは、難民化する患者さんを救うことでもあります。