組織における合議制

  • 2025.03.11

 当院における意思決定はすべて「トップダウン」である。組織によっては「合議制」で行うところもあるだろうが、当院では合議制を一切採用していない。

 もちろん、これはスタッフの意見を全く聞かないということではなく、私から各スタッフに自分の意見を出すよう求めることはあるが、最終決定権は組織のトップである私にあり、最終責任は私しか負えないわけであるので、クリニックに関わることは全て私が決める。

 一見、独裁的に見えるかもしれないが、批判を恐れず言えば、私からすれば「合議制」は「学級会」でしかない。「学級会」ではなく真に機能する「合議制」であるためには、その前提として、

・利己を排して組織の利益を一番に考える心

・単なる批判、不平・不満を言うような評論家ではなく、建設的な意見を出せる姿勢

 少なくともこの二条件が、スタッフ全員に備わっていなければならないと考える。

 スタッフは群れる。特に女性はその傾向があるように思う。組織はいくつかのグループに分かれるわけであるが、あるグループが過半数を占める与党となった場合、いつの間にか自分たちの意見がクリニックの意見として通ると勘違いし、自分たちの利益を最優先するようになり、自分たちの意に反する意見に対してはただ単に批判するだけという、ミゼラブルな組織の姿となってしまう。

 したがって、あくまで個人的な意見ではあるが、「合議制」で強い組織を作り上げることはできないと考える。トップの下した判断は必ずしも正しいとは限らないが、スタッフとの良好な関係ができていれば、その建設的で迅速なポジティブ・フィードバックにより、より正しいそして最終的には最適の判断に修正できることができる。

 つまり、私が考える「トップダウン」というものは、皆が考える一方向性の強硬支配を指すのではなく、信頼関係の上に成り立ったスタッフと作り上げる「共同作品」なのである。

 「合議制」と「共同作品」・・・この二つは類義のように思われるが、対局のものである。