キャッチボール
- 2025.10.19
「指示」は、組織(クリニック)において上の者(院長)から下の者(スタッフ)へと行われる。そのため、多くの人は「指示」を一方向性のものと捉えている。
指示をボールとした時、上記の考えになぞらえれば、院長はピッチャーでありスタッフはキャッチャーとなる。つまり、キャッチャーは常にボールを受け続ける受け身的立場ということになる。
しかし、私の考えは全く異なる。「指示とは院長とスタッフとの間のキャッチボール」であり、なおかつ(今回これを極めて強調したいのだが)「最終的に院長が受け取るキャッチボール」と考えている。
ピッチャーとキャッチャーの関係であれば最後にボールを持つのはスタッフとなるが、私の考えでは最後にボールを持つのは院長である。
以前のブログで述べているように、私は自ら出す指示が初めから最適解であるとは全く思っていない。「自分の考えの通り多分上手くいくやろう(80点)」と思うこともあれば「やってみんと分からんな。結果みてから修正しよ(40-50点)」と思いながら指示を出すこともある。私が大事にしたいのは、私の指示を実行するスタッフが感じた現場感覚である。その現場感覚を以て、速やかに修正しなければならないものをいち早く修正したいと思っている。
しかし、指示というものをスタッフが上述の通念的なもので捉えてしまっていると、指示を実行するということにフォーカスを当ててしまい、自分が感じた感覚は二の次になってしまうことが多い。私は「実行」ではなくむしろこの「実行後の感覚」にフォーカスを当ててほしいし、それをものすごく大切にしてほしいのである。
通念的な捉え方だと「実行後の感覚」が二の次となるばかりでなく、その感覚がマイナスのものであった場合「指示だから自分が我慢しないといけない」という思考になり、ボールを院長に投げるという「報告」がなされないという事態が生じる。
「報告」が上がってこない院長は、自らの指示を修正する材料、機会を失うわけであるから、現場感覚とズレた指示がそのままGOとなり、修正を失った指示により誤った結果が持続し、そしてスタッフの不平・不満の温床となるのである。
スタッフには「実行後の感覚」に常にフォーカスを当てて、「院長に投げ返す(報告)」習慣を身に付けてほしい。それが当たり前になるまで意識しながら仕事をしてほしい。返ってきたボールを踏まえ指示を修正し私が改めてボールをスタッフに投げ返し、そしてスタッフは再実行による現場感覚を院長に改めて投げ返すのである。これがまさにキャッチボールなのだ。
そしてこのキャッチボールは前述のとおり、絶対に最後の受け手がスタッフであってはいけない。「最終的に院長が受け取るキャッチボール」でなければならない。
スタッフからのボールが私の胸元に来た時に「ナイスボール!!」と叫んだ時が、私の指示が最適解となった暁なのである。