事前準備の意味は?

  • 2025.10.30

 皆さんは仕事においてどれだけ「事前準備」をしているだろうか?「事前準備」の大切さは頭で分かってはいてもそれを徹底的に意識して実践できている人は極めて少ないのではないかと思う。

 ビジネスマンであれば、アポイントを取って面会する機会は日常茶飯事であろう。では、その面会のための事前準備をどこまで徹底してやったか?自分の胸に手を当てて自答した時に、「十分やり尽くした」と言える人はどれだけいるだろうか?

 例えば、面会時間が10分であったとする。私は常々、「時間とは他人との共有のもの」と言っている。その10分はあなたの時間であると同時に、先方があなたのために捻出してくれた10分でもある。かつ、その10分のために先方は前後の予定を調節しているわけであるから、「実質10分ではなく30分」である。

 先方は、その時間のためにあなたがどれだけ「事前準備」したのかを見ている。緊張しているかどうかは全く関係ない。「事前準備」が為されていれば、面会のポイントや話の論理展開が明瞭に見えてくるし、自社製品のアピールであれば「なるほど、こういう切り口で攻めようとしているんやな。考えてきたな」と感じるのである。

 一方で、明らかに準備不足と感じる場合の方が圧倒的に多い。話の内容がフワッとしていて論点が不明瞭であったり、そもそも口調にエネルギーを感じない。目つきを見ればそれが端的に表している。前回のブログでも書いたが、雇われている人はそんな仕事をしていても給与が下がるわけではないから、そんな仕事をしてしまっている部分があるのだろう。「ちゃんとせんかったら給与が下がる」というシステムであったら頑張れるのかもしれないが、そもそもそのようなマインドの人は仕事において三流未満だ。

「この時間は、先方が自分のために前後の予定も調節した上で準備してくれた大切な時間だ。失礼のないように自分のできる限りの準備をしよう」これが一流のマインドである。

 私は毎朝6時前からクリニックで仕事をしていると以前のブログでも書いた。その時間の多くは「事前準備」だ。例えば、カルテの予習であれば、数日先の予約一覧表から問診で確認すること、具体的な検査内容(1ヶ月に1回や3ヶ月に1回しか施行が認められていないものはそれにも留意しながら)、算定可能な指導料、スタッフへの指示などを事細かくカルテ予習ツールを使って入力する。

 そして、その診療日の朝には一覧表を眺めて、もう一度ポイントとなる患者さんやその内容をチェックし、一日の診療の流れを「譜面」のように頭の中でイメージする。

 診療開始後にはさらに、診療予約の30分単位ごとに、どの患者さんをどの診察室に入れるのか、どういう流れで診療を進めるのかを付いているナースと事前確認を行う。

 私は毎朝、西方浄土のご先祖様に向かって、今日一日全力を尽くしたいと思いますではなく、「今日一日全力を尽くします」と「宣言」している。

 一日一日を本気で全力で生きた者だけが大事を成し遂げることができる。それが「大器晩成」である。