真実・真意を見極める力
- 2022.10.26
関節リウマチ診療では、診察の度に(ほぼ毎回)採血が必要である。これは、薬剤の効果をみるためというよりも、薬剤の副作用の有無をみるためと言った方が良い。
薬剤が効いているのかどうかは、関節をしっかりと触診すれば8割方判断が可能である。さらに、触診を関節エコーで補完すれば、9割方判断が可能と言っても過言ではない。
もし、関節リウマチの状態を、関節の触診もせずに採血結果のみで判断している医師がいるとすれば、それは患者さんの今後の人生を大きく左右する由々しき事態である。この点については、ホームぺージ上の「リウマチ専門医・指導医としての視点」でも述べた通りである。
11/6(日)のリウマチ療養講演会・相談会では、この点について力説しようと思っている。ちなみに、療養講演会・相談会には、本日時点で40名を超える方々から申し込みをいただいている。大津市から参加される方もおられるので、「今日は本当に来て良かった~」と思っていただけるよう最大限に「心を燃やす」所存である。スタッフからは、「気合入り過ぎ~~」っと諫められたが・・・・・・・
採血項目には、それぞれ「基準値」なるものが存在する。「基準値」より高い・低いで、病気の状態を判断できるように思える。たしかに、数字というものは一見客観的であるし、他人にも説得力があって理解されやすいもののように思えるが、見えているものだけで判断してしまうと、判断を誤ってしまう恐れがある。
大事なことは「結果をどう解釈するのか?」ということである。それは、どんな検査にも「偽陽性」「偽陰性」というものがあるからである。「偽陽性」とは「病気がないにも関わらず、検査値が陽性であること」である。また、「偽陰性」とは「病気があるにも関わらず、検査値が正常であること」を指す。人間ドックで、腫瘍マーカーが測定されることがしばしばあるが、検査値の異常があったとしても癌があるとは限らず、検査値が正常であったとしても癌がないとは言えないのである。
つまり、真実を見極めるためには、目に見えている表面上のものだけで判断してはならない。複合的・総合的に判断する力が必要である。これは、人をみる力にも当てはまるものであり、人を正しく理解するためには深い洞察力が求められる。その人を本気で大事にしたいと思っているのであれば、その人を理解しようとする心を持たねばならない。(主)