sense:感じ取る力
- 2023.05.20
関節リウマチ(RA)診療において最も留意すべき合併症は感染症である。それは、感染症が最も頻度の高い合併症であると同時に、時に生命に関わる場合があるからである。
クリニックは、病院のようにCTなどの高度な設備は整っていない。血液検査も病院であれば1時間で結果は大方判明するが、クリニックの場合翌日以降になる。つまり、クリニックでのRA診療は、病院でのそれと比べ、よりsensitiveである必要がある。医師は、患者さんの症状や身体所見の些細な変化を感じ取れなければならないし、病院へ搬送すべきかどうかを即時に判断しなければならない時もある。
しかし、症状というのは常に典型的な形で現れるものではない。例えば急性虫垂炎であれば、発症初期には心窩部痛しか見られず胃腸炎などと間違われることがある。また虫垂は必ずしも右下腹部に存在するわけではなく、盲腸から上行結腸の傍を上行することもある。その場合、虫垂先端に炎症をきたせば右上腹部痛を呈する。また、腎盂腎炎ではしばしば嘔気を伴い、胃腸炎と間違われることがある。
クリニックでのRA診療は医師のsenseが常に問われる。