関節リウマチの状態はリウマトイド因子の値で判断してはいけません!!
- 2024.09.03
ほとんどの患者さんは、関節痛がないとRAの「状態が良い」、関節痛が強いとRAの「状態が悪い」と判断されます。しかし、実際のところは、関節痛がないからといって必ずしもRAの状態が良いとは限りませんし、関節痛が強いからといって必ずしもRAの状態が悪いとは限りません。
強い関節炎があっても関節痛がない、あるいはほとんどないといったことは、特に足趾(足の指)の付け根の関節(MTP関節)でしばしばそのような傾向が見られます。
また、関節痛が強くてもその原因が、変形性関節症やいわゆる更年期障害など他のものであったとすれば、RAの状態が良いと判断されるわけです。
「痛み」という主観的な物差しではなく、客観的にRAの状態を判断できる指標があれば非常に分かりやすいですよね。血液検査で、数字が大きければ状態が悪い、数字が小さければ状態が良いと、判断できるマーカーが果たしてあるのでしょうか?
たしかに、CRPやMMP-3というマーカーがありますが・・・・・
「正しい結果の解釈に基づいて、補助的かつ参考的に利用する」
という、とても分かりにくい答えになります。CRPやMMP-3だけでRAの状態を判断してはいけないということは、今までもブログで何度も書いてきたことですので、是非過去の記事を探してみてください。
今回は、リウマトイド因子(RF)の推移で、RAの状態を判断できるのかどうかということに主眼を置きます。
リウマトイド因子(RF)の値の推移でRAの状態を判断できるのか?
答えは「ノー」です。
これは、患者さんやRAを専門としていない医師がしばしば陥りやすい罠です。もし読者の中に、「RFの値が下がってきているから、RAの状態は良くなってきていますよ」という説明を受けているのであれば、RAの状態が良くなっている他の根拠(関節の腫れがひいている、関節エコーで関節炎が改善しているなど)がなければ、その説明は誤りです。
単純に考えてみれば分かることですが、関節リウマチは関節滑膜に炎症をきたす疾患です。関節エコーで関節滑膜炎が改善している、あるいは関節滑膜炎の改善の傍証である関節の腫れの改善がみられた時に、RAの状態は良くなっていると判断できるわけです。
残念なことに、RFの値だけをみてRAの治療をしている医師(多くはリウマチ専門医の資格を持っていない医師ですが)がいます。そのような場合には、RAの状態が過大評価・過小評価ともに起こりうるわけですので、副作用の色々ある薬剤が過剰に投与されたり、しっかりと治療強化がなされず関節破壊が進んでしまうということが生じます。
RAの状態は絶対に血液検査の結果だけで判断してはいけません。触診と関節エコー、これはRA診療において必須と考えています。あなたの主治医の先生がどちらも日常診療でされていない(日常診療が忙しすぎてできないのか、その技術を持ち合わせていないのか、そもそもその重要性を認識していないのかは分かりませんが・・・)のであれば、私は主治医を変えることを強く勧めます。少なくとも関節リウマチに関して、あなたの人生に責任を持って診ようとしている医師には思えないからです。