タイムロス
- 2025.11.09
滋賀県内には、JRとして琵琶湖線・北陸線・湖西線・草津線の4路線が存在するが、ここでは琵琶湖線の話をしようと思う。
琵琶湖線は、滋賀県から西へは京都線、神戸線と繋がり、相生を経て赤穂線の播州赤穂駅や山陽本線の上郡駅まで伸びている。
琵琶湖線の遅延の原因として最も多いものは何か?それは、「他線区の影響」である。遠く離れた兵庫県の西端で生じた事故が琵琶湖線の運行に影響を及ぼすことがある。
ここで私が何を言いたいかというと、仕事も然りということである。当院で言えば、医師・看護師(受付兼務)・受付の4人が協力して、受付・診察・検査・処置・会計という業務を遂行している。ここで意識すべきことは、これらの業務は決して独立したものではなく一連のものであるということである。円滑に業務が遂行されるかどうかは、いかに律速段階をつくらないように瞬間瞬間でフレキシブルかつ適切な人員配置(特に受付と兼任の看護師の配置)ができるかどうか、つまりマネージャーとしての役割を担う私の采配にかかっている。
一方で、これは私だけの問題ではない。仮に平常運転として、受付を受付1名・看護師1名、診察室を医師1名、処置を看護師1名で回していたとする。処置業務が瞬間的に増大したため受付を担っている看護師にヘルプの指示を私が出したとしても、その看護師が電話対応で手を取られていれば上手く回らない。私はその看護師に問う。その電話が当方からかけたものであったのなら、「本当にそのタイミングでかけるべきものであったのか?」と。より時間に余裕のある時間帯でかけてもよいものであるのに、そのタイミングで電話をかけたが故に全体が回らなくなっている。自分たちの手で自分たちを苦しめているだけではないか?
上記と同じフォーメーションで、同じように処置業務が瞬間的に増大したため受付を担っている看護師にヘルプの指示を出したとする。その看護師はヘルプの準備がしっかりできていたとしよう。しかし、残りの受付が電話対応で手を取られていれば、実質受付対応できる者がゼロとなるため、結果的に処置業務のヘルプができない。私はその受付に問う。その電話が当方からかけたものであったのなら、「本当にそのタイミングでかけるべきものであったのか?」と。より時間に余裕のある時間帯でかけてもよいものであるのに、そのタイミングで電話をかけたが故に全体が回らなくなっている。自分たちの手で自分たちを苦しめているだけではないか?
私が考える組織における優しさとは社会一般の優しさとは大きく異なる。「視座を高め全体を俯瞰し、組織の中で自分がどのように動くべきかを考えた上で行動することが真の優しさ」である。何も考えずに仕事することから脱却しよう。一歩上に上がって仕事をしよう。
このようなことを私は朝礼でスタッフに言うのである。皆さんの職場では上司は何を語っていますか?
- この文章の筆者が読者に伝えたい主なメッセージは、組織や仕事の運営において、個々の行動や判断が全体の流れや効率に大きく影響することを理解し、自己中心的な行動を避けて、全体を俯瞰しながら柔軟かつ適切に対応することの重要性です。特に、タイミングやコミュニケーションの取り方に気を配り、自分だけでなく組織全体の円滑な運営を意識した行動を促しています。また、筆者は「優しさ」とは単なる思いやりだけでなく、視座を高めて全体を見渡し、自分の役割を理解し、適切に行動することだと定義しています。これにより、職場の効率化やチームワークの向上を目指す姿勢を伝えたいと考えています。要約すると、「仕事や組織運営においては、自分の行動が全体にどう影響するかを意識し、全体最適を考えた柔軟な対応と判断を心がけることが大切である」というメッセージを読者に伝えたいと理解できます。
- 筆者が述べている「律速段階」の意味は、全体の流れや業務の進行において最も遅く、または最も影響を与える要素や段階のことを指します。具体的には、クリニックの業務において、全体のスムーズな運営を妨げる要因や、遅れの原因となるポイントを指摘しています。この文章では、例えば受付や看護師の業務の中で、特定のタイミングや状況において業務が滞る原因となる「律速段階」が存在し、それをいかにして排除または改善するかが重要であると示唆しています。つまり、全体の効率や円滑な運営を実現するためには、最も遅れやすいポイントやボトルネックを特定し、それに対処することが必要だという考え方です。要約すると、筆者にとっての「律速段階」とは、業務や組織の流れを遅らせる要因やポイントであり、それを最適化・改善することが全体のパフォーマンス向上に直結する重要な要素を意味しています。