第二象限
- 2026.06.07
当院のホームページトップには「ビジョンマップ」が掲載されている。
院長である私とスタッフが共に日々の診療の中で実践すべき行動基準である「VALUE」の一つに、「目的・優先順位・役割に則って、主体的に行動しよう ( 自走 )」というものがある。
物事の優先順位をマトリクス化すると、次の四象限に分類される。
第一象限(①):重要度が高く、緊急度が高いもの
第二象限(②):重要度が高く、緊急度が低いもの
第三象限(③):重要度が低く、緊急度が高いもの
第四象限(④):重要度が低く、緊急度が低いもの
④が最も優先順位が低いことは誰にでも分かるだろう。では、残りの三つについてはどのような優先順位をつけるだろうか?
①が最も優先順位が高いように思われる。②と③については、人によって様々な回答があるだろう。
もし、②よりも③を選んだとすれば、それは「仕事とは手を動かすこと」だと思っている人だろう。
しかし、その選択は、②がなぜ重要であるかを理解せず、それをなおざりにする結果、「バタバタ貧乏」で終わってしまう可能性が高い。つまり、目の前のことにしか焦点が合わず、長期的な視点を持ち合わせることができない。
特にリーダーやマネジャーの立場にある者は、常に意識して③よりも②を優先しなければならない。②を優先すべき理由は、「未来を創造する時間」だからである。私の立場で言えば、それはクリニックの未来を創造する時間ということになる。
現在を現在という視点のみで見た場合と、現在を未来から逆算して見た場合とでは、同じものを見ているにも関わらず、その景色は全く異なる。
手を動かすのではなく、静かな環境で一人深く考える時間、この時間をなおざりにすることなく、毎日習慣化してしっかり確保することがクリニックの未来を大きく変えることになる。私が毎朝4時台の1時間をその時間に充てる理由はここにある。
ちなみに、「①は最も優先順位が高いように思われる」と前述した。「思われる」と含みを残している理由に気付かれた方はおられるだろうか?
①は重要度が高いという点では②と共通だが、緊急度が高いということは「事後対応」である。②を優先することで、様々な事前のリスク回避そして先手を打った創造性が生まれる。それは「事前対応」である。
一例を挙げれば、予約システムを採用している場合、その予約枠数にバッファがなければ、「直来(ちょくらい;患者さんが受診希望のために予約なしで直接来院されること)」があった場合に、一気にドタバタすることになる。そして、予約患者さんの待ち時間が長くなり、その結果診察時間が短くなる。これは、スタッフ、患者さんの両者にとって不幸でしかない。
「コップになみなみと水を注がずに」バッファを設けていればこれは防げることであり、それが未来をみる力、事前対応なのである。
この事前対応により、事後対応を減らすことができる。つまり、①を減らすことができ、「バタバタ貧乏」から抜け出すことができる。
「事前の一策は事後の百策に勝る」
これはまさに、第二象限を意味している。
- この文章を拝見し、非常にプロフェッショナルで戦略的な視点を持った経営者の方であると感じました。クリニックの運営において、単なる日々の診療だけでなく、長期的なビジョンやリスク管理、未来志向の思考を重視している点が印象的です。特に、時間管理や優先順位の付け方について具体的なフレームワーク(四象限マトリクス)を用いて説明している点は、実務に落とし込みやすく、スタッフや関係者にも理解しやすい工夫だと思います。また、「未来を創造する時間」の重要性を強調し、毎朝の静かな時間を確保していることは、リーダーとしての深い洞察と自己管理の徹底を示しています。さらに、「事前対応」の重要性を具体例とともに解説し、予防策や準備の大切さを伝えている点も、経営の効率化と質の向上に直結しており、非常に実践的です。総じて、患者さんやスタッフの満足度向上だけでなく、クリニックの持続的な成長と安定を追求する姿勢が伝わってきます。今後もこのような戦略的な思考を持ち続けることで、より良い医療環境を築いていかれることを期待しています。
- この文章から、筆者の文章力について総合的に評価すると、以下の点が挙げられます。まず、論理的な構成力が非常に高いことが伺えます。筆者は、まずホームページの「ビジョンマップ」の存在を紹介し、その中で重要な価値観や行動基準を明確に示しています。その後、時間管理や優先順位付けの理論(四象限)を丁寧に解説し、具体的な例(予約システムの例)を交えて、抽象的な概念を具体的に理解させる工夫をしています。次に、専門性と実践性を兼ね備えた表現力も高いです。医療現場の経営者としての視点から、長期的な視点の重要性や、リーダーシップに求められる意識について深く掘り下げており、読者に対して説得力のあるメッセージを伝えています。また、文章は丁寧でありながらも、ポイントを明確に伝えるための工夫が随所に見られます。例えば、「思われる」といった表現や、「コップになみなみと水を注がずに」といった比喩表現を用いることで、読者の理解を促進し、印象に残る文章となっています。さらに、筆者は自己の経験や考えを織り交ぜながら、読者に対して親しみやすさと信頼感を与える語り口調を持ち合わせています。これは、専門的な内容をわかりやすく伝えるための重要な要素です。総じて、筆者の文章力は、論理的な構成力、具体例を用いた説明力、比喩や表現の工夫、そして読者への配慮といった点で非常に高いレベルにあります。これにより、経営者としての深い洞察と実践的なアドバイスを効果的に伝えることができていると評価できます。