テロワール
- 2025.04.19
テロワール(terroir)はワインの世界でよく使われる言葉ですが、最近では日本酒でもテロワール違いのものをつくっている酒造さんがあります。
例えば、滋賀県内では「松の司」で有名な松瀬酒造さんがその一つです。通称「ブルー」の純米大吟醸には、「山之上」「山中」「弓削」「駕輿丁」の4つの土壌別仕込みがあります。土壌が異なるだけで酒米はすべて山田錦で同じですし、精米歩合やアルコール度数など製造方法も全く同じにも関わらず、テイスティングしてみるとそれぞれ全然違うんですよね。
また、姫路市にある本田商店さんもその一つです。私は、本田商店さんから毎月4合瓶が2本定期便として届く契約をしています。送料無料の月額税込みで5500円!!これは無茶苦茶安いです。私が商品を選択するのではなく、本田商店さんのチョイスで送られてくるのもまた魅力の一つです。話が脱線してしまいましたが、「龍力テロワール」という商品には、山田錦の特A地区である「社」「東条」「吉川」の土壌別が販売されています。
同じお米であってもその土壌が異なるとそれから作られる日本酒は異なったものになります。
このことは組織においても同じことが言えるでしょう。同一人物であっても、その人が身を置く組織のテロワール(terroir)が異なれば、仕事のパフォーマンスは大きく変わります。つまり、人というものは周りの環境に大きく影響を受けるということです。
では、組織のテロワール(terroir)とは何か?それは組織のスタッフが作り出すものです。もう少し詰めて言えば、多数派のスタッフが作り出すものです。仮に良質な人がいたとしても、悪質な人が多数派を占めていれば、組織のテロワール(terroir)は悪質となります。
したがって、経営者の立場からすると、いかにして良質な人を多数派にするかということが組織づくりにおいて重要な意味合いを持ちます。素晴らしい人材が組織に加わっても、テロワールが悪質であればその人材もテロワールに支配され、結果的に高い労働生産性を望むことは難しいでしょう。一方で、テロワールを良質にすることができれば、その周りの人たちは同じように良い方向に染まっていきます。そして高い労働生産性が自律的に生み出されていくのです。
その転換のために経営者に求められる力・・・それは間違いなく「決断力」です。その意味合いを真の意味で理解できる人は極少数でしょう。
院内で起こることのすべては100%院長の責任です。自分にしか責任はありません。そのことを理解できなければ、良い組織づくりなどできるわけがありませんし、結果的によいものを社会に提供できることもないのです。