心の準備

  • 2022.08.31

 心の準備・・・これは初診の方の受診前に、私が特に念入りに行う作業である。

 それは受診の前日から始まっている。予約リストおよび事前問診票を眺めながら、患者さんは一体どのような経緯で当院を知り、また当院を受診しようと思い至ったのか?患者さんはどのような不安を抱き、また受診にあたってどのような期待を抱いているのか?様々なシチュエーションを想定するが、『期待に応えられなかった場合の自らへの失望に対する恐れ』(2022.08.11:「初診時に思い起こす初心」)は、常に私を脅かす・・・

 本日の初診の方は、電車で1時間以上もかけて来院された。「自らへの失望に対する恐れ」は普段以上に大きなものであった。わざわざ長浜まで来てもらったのに、患者さんを落胆・失望させるわけにはいかない。医学的に論理的でかつ明瞭な説明が求められる。果たして、患者さんに納得してもらえるだけのものが自分に提供できるであろうか・・・

 今朝は、普段よりも15分早く起きて、昨日のブログ記事「松下幸之助と稲盛和夫氏」を何度も読み返し、自分の心に刷り込んだ。自分自身が大事にすべきと考えていることが、偉大なお二人の言葉として耳を傾けると、非常に勇気づけられた。

 その後の私の心は朝靄が晴れた如く清々しく、また例の「恐れ」は霧散したことは言うまでもない。

 この時点で、私の本日の診療パフォーマンスは、すでに決していたのである。(主)