長期ビジョン

  • 2025.06.21

 2~3週間前から、朝礼の際に日毎の当番制で当院の理念をスタッフに言ってもらうようにしています。スタッフは現在3名しかおりませんのですぐに当番が回ってきます。まだ私の目を見て大声ではっきりと言える者はおりません。

「専門医・認定医として、より質の高いリウマチ膠原病・骨粗鬆症診療を提供します」

 実にシンプルで、患者さんに分かりやすいものではないかと思います。組織である以上、利益を追求しなければならないのは当然のことですが、近視になってしまっては先にある大事なものが見えなくなってしまいます。それを忘れないようにとこの活動を始めたのです。スタッフ一人一人がこの理念の基、自らがどのような働き方をすべきか見つめ直す機会としています。スタッフが言い終えた後には、私は数分の説法をするのです。

 お金のことしか考えていない者は当院には要りません。組織の成長の妨げになるだけです。腐る原因になります。そういう者が当院にいたとしたら、私は法を駆使して徹底的に排除する方向に持って行きます。

 病院では患者さんを待たせるのが当たり前の文化になっています。「仕方ないやん」という一言で済ましてしまい、それを改善しようという土壌がほぼありません。クリニックはそれと同じ価値観であっては差別化を生むことができません。つまり、患者さんに選ばれることがありません。今後当院では「AI電話」を導入することになりますが、少数精鋭であっても徹底したシステム化により、診療がうまく回り、かつ利益をしっかり生み出していきます。

 また、長期的(私の中では10年以内)には、月曜日~日曜日まで休診日なく、患者さんの状態が変化してもいつでも対応できるようなシステム、そして急速な高齢化に対応するための訪問診療システムも確立していきたいと思います。患者さんから選ばれるクリニックはこのようなところにあるのではないかと思うわけです。

 私は自らが成長すればそれだけ社会を幸せにできると信じ切っています。だからこそ、朝の6時からクリニックで仕事をしようが、24時間365日経営のことを考えようが苦痛ではないのです。自分がサボったらその分社会が不幸になると思っているのです。

 一方で私はスーパーマンではありませんし、また時間は有限です。これからの私は、私よりも優秀な人材、それは看護師だけでなく医師をも扱える人間にならなければ前述したことを実現することはできません。自ら置かれるフェーズによって求められる能力は異なります。私はすべての「大波」を絶対に乗り越えてみせます。そして乗り越えた先には新たな世界が広がっているでしょうし、振り返った時にその波は、しょうもないほどに「小波」であることに気付くでしょう。