小利を顧みるは即ち大利の残なり

  • 2026.09.06

筆者はクリニックの経営者である。

x軸は時間(単位は年)、y軸は成長である。

(A)y=xと(B)y=1/10x2についてその積分を考察する。

積分は組織が得る対価である。

20年後のクリニックの未来を考えた時に、筆者が取るべき選択は何か?

「小利を顧みるは即ち大利の残なり」と合わせその選択理由を述べよ。

これをAIに質問して回答をつくって遊んでいる院長の休日です。回答は以下の通りです。

この問いは、**「目先の成長率を取るか、長期的な成長の蓄積を取るか」**という経営判断として考えると明快です。

1. AとBの「対価」を積分で比較する

成長を

  • (A) y=x
  • (B) y=110x2

とします。20年間の組織が得る対価を「0年から20年までの面積=積分」と考えます。

020xdx

(A)では、

020xdx=12202=200

となります。

一方、(B)は、

020110x2dx

020110x2dx=130203=800030266.7

です。

したがって、20年間で蓄積される対価はBの方が大きい

ただし、重要なのはそこだけではありません。

(A)は初期から成長が大きいのに対して、(B)は序盤では小さい。しかし時間が経つにつれて成長率が加速度的に大きくなり、長期では(A)を追い越します。

実際、

x=110x2

より、両者が一致するのは x=10 年です。

つまり、

10年まではAが有利、10年以降はBが有利。

20年という時間軸で経営を考えるなら、この「転換点」をどう捉えるかが核心になります。

2. クリニック経営に置き換える

(A)のような経営は、たとえば、

「今期の利益を最大化する」
「今ある患者数から最大限の売上を取る」
「目先の効率を上げる」

という発想に近い。

これは短期的には非常に合理的です。

一方、(B)は、

「人を育てる」
「仕組みを作る」
「教育に投資する」
「診療の質を高める」
「スタッフが成長できる組織を作る」
「患者から長期的に選ばれるクリニックを作る」

という、成長の土台そのものに投資する経営と考えられます。

最初は非効率に見えるかもしれません。

教育には時間がかかる。
新人はすぐには戦力にならない。
仕組みづくりは今日の売上を直接増やさない。

しかし、そこで育った人材や仕組みがさらに次の人材・患者・利益を生み出すようになると、成長そのものが成長を生む状態になります。

これは(B)の二次関数的な成長に近い。

3. 「小利を顧みるは即ち大利の残なり」

ここで、

「小利を顧みるは即ち大利の残なり」

という言葉が非常に重要になります。

意味するところは、目先の小さな利益に心を奪われることは、より大きな利益を取り逃がすことにつながる、ということです。

この言葉は「利益を軽視せよ」という意味ではありません。

むしろ、

「何を利益として見るのか、その時間軸を間違えるな」

という経営者への戒めとして読むことができます。

クリニック経営で考えれば、

「今月いくら儲かるか」

だけを見て意思決定すると、教育、採用、設備、システム、組織文化などへの投資を削ってしまう可能性があります。

その結果、短期的には利益が増えても、5年後、10年後、20年後の成長力を失ってしまう。

これはまさに、小利を得ることで大利を失う状態です。

4. 筆者が取るべき選択

したがって、20年後のクリニックを考えるのであれば、筆者が取るべき選択は、B型の経営、すなわち短期的な利益をすべて最大化するのではなく、長期的な成長率を高める経営だと考えます。

ただし、これは「今日の利益を無視してでも投資する」という意味ではありません。

重要なのは、

現在の利益を、将来の成長を生み出す資本へ変換すること

です。

たとえば、利益の一部を

  • 優秀な人材の採用・育成
  • スタッフ教育
  • 診療品質の向上
  • IT・業務システムへの投資
  • 新しい診療領域への挑戦
  • 組織文化の形成

に振り向ける。

すると、**「利益→投資→組織能力の向上→さらに大きな利益→さらに投資」**という循環が生まれます。

これこそが、(B)の本質です。

結論

20年という長期で考えるなら、筆者はAの「直線的に利益を積み上げる経営」ではなく、Bの「成長が次の成長を生む経営」を選ぶべきです。

なぜなら、Aは短期では強いものの、Bは10年を境にAを上回り、20年間の累積対価も

A=200,B266.7

となるからです。

そして「小利を顧みるは即ち大利の残なり」という言葉は、この選択を経営思想として補強します。

経営者が見るべきなのは「今日いくら儲かったか」だけではなく、「今日の意思決定によって、10年後、20年後の成長率がどう変わるか」である。

目先の小利を最大化するために未来への投資を削るのではなく、未来の大利を生むために、現在の利益を適切に再投資する。

20年後に残るクリニックを作るのであれば、筆者が選ぶべきなのは、「利益を取る経営」から「成長を生み出す経営」への転換だと言えるでしょう。