「Janus」

  • 2024.10.16

 タイトルである「Janus」は、ローマ神話の出入り口と扉の守護神で、前と後ろに反対向きの2つの顔を持つのが特徴の双面神である。

 関節リウマチとどう関係あるのか?と思われる方が多いと思うが、JAK(ジャック)阻害薬の名称の由来はこの「Janus」にある。この流れでいくと、読者のほとんどが(リウマチ専門医であればタイトルを見ただけで)今回の内容はJAK阻害薬と思われるであろう。しかし、そこを裏切るのが私の務めである。

 私は今まで多くのブログを書いてきたが、そのほとんどはRAとは直接関連のないことである。もちろん、リウマチ専門医としてRAのことを書くことは務めであるが、一方でそれが全てでもない。色々検索すれば、玉石混交ながらも手軽に情報は得られる時代である。エビデンスという客観的なものを、無味乾燥に紹介することが患者さんにとっての幸福とは思えない。少なくとも私はそうとは思わない。

 文章とは、Janus的要素を含んでいる。最近、経営について書くことが多いが、同一文であっても被雇用者からすれば「アンチ」である。読者のほとんどが被雇用者であるだろうから、「アンチ」がほとんどということになる。一方で、マイノリティである雇用者からすれば、スタンディングオベーションまたは「その言葉に救われた」という人もいるだろう。つまり、文章の解釈というものは、多様性に富むどころか、二極化することさえある。

 私はそのJanus的要素を利用して、恣意的に読者の解釈を誘導することもある。それが、読者の反感を買う、あるいは混乱を招くことにつながるのかもしれないが、それそのものが私の狙いである。

 誰にも私を理解できないでしょう。それが私の喜びです。