元宝塚の方の質問
- 2025.02.16
最近は、診療体制が新しくなるということもあり、私の頭の中の95%以上は経営のことが占めています。必然的にブログの内容もそのようになってしまいます。
関節リウマチ(RA)患者さんの中には、何か新しい有益な情報を求めて私のブログを見てくださっている方もおられるので、それに応えるべく何か書こうと思うのですが、如何せん頭の中が経営のことばかりですとパッと簡単に書けないのですね。
そんな折に、ふと、「患者さんはどんなブログを書いてはるんやろ?、そこに僕が書く内容のヒント、つまり患者さんのニーズが隠されているかもしれん」と思い、RA患者さんのブログを探してみました。すると、元宝塚の方のブログに行き着きました。そこには・・・
『どこまで来たら寛解なのか?検査の数値?数値が平常になっても本人が辛かったらどうなるの?
逆に数値は変化なくても本人がラクになり寛解だ!と思えば寛解なのか?
うーん🤔』
なるほど・・・確かに「寛解」って言葉は患者さんには分かりにくいですね。さらに寛解には臨床的寛解・構造的寛解・機能的寛解といったものがあるので余計にややこしいですよね。
「検査の数値」とはおそらくCRPや赤沈、MMP-3を指していると思われますが、今までブログで書いてきた通り、手指・手・足趾などの小さな関節に炎症があっても、これらの数値はほとんど正常ですので、「検査の数値」が正常であっても寛解に至っているとは限りません。「検査の数値」だけでRAの病勢を判断することは、RA診療において絶対に避けなければいけない行為です。「検査の数値」だけでRAの病勢を判断できれば、リウマチ専門医は不要ですよね。
関節痛があまりないからといって「寛解」というわけではありません。関節の炎症が強いにも関わらず、関節痛があまりないあるいはほとんどないということが時々あります。患者さんは関節痛の程度でRAの状態を評価しがちですが、関節の炎症の程度と関節痛の程度が乖離することがあるため、関節の痛みという自覚症状のみでRAの状態を判断することも危険な行為です。
また、関節痛がRAではなく併存する他疾患(更年期障害に伴う関節痛や変形性関節症に伴う関節痛など)に因るものであれば、RAは「寛解」に至っているのだけれども関節痛があるという状況もしばしば経験します。
ですから、「寛解」の判断って、患者さんにとってはものすごく難しいことだと思います。
では、「寛解」と判断するために必要なことは何か?
それは「関節の触診」です。これ抜きに「寛解」かどうかを判断することは絶対にできません。しかも、症状のない関節も含めて触診をされているかどうかです。ですので、RA患者さんが診察の際に関節の触診をされていないのであれば、それは大海原を羅針盤抜きに航海しているようなものです。
関節が皮膚面から深いところにある場合、触診での判断は困難ですので、そのような際には「関節エコー」で適宜それを補うのです。
「RA患者さんにとって良い主治医はどんな医師ですか?」と問われたとすれば・・・それは、「必ず関節の触診をする医師であること、そして適宜関節エコーを施行してくれる医師であること、これが必要条件でしょう」というのが私の答えです。そうでなければ、「寛解」の判断なんてできないのですから。