有事に備える
- 2025.09.06
予約制の美容院とクリニックとを比較してみる。予約外の方が来られた場合、美容院であれば断ることができる。しかし、クリニックの場合、その病状によっては断ることができない。また、美容院であれば一人当たりにかかる時間は計算できるが、クリニックの場合はやはり、患者さんの病状によっては予想以上に診察時間がかかることもある。
このように、予約制であっても、クリニックの場合常に不測の事態、イレギュラーな事態が生じる。しかし、我々は「イレギュラーなことが起きたから仕方がないよね」で済ますのではなく、「常にイレギュラーな事態は生じる」と心得ながら、それに備えることが肝要である。
良いパフォーマンスを維持する上で重要なことは、「キャパオーバーの時間をいかに減らすか?」ということである。ここでいうキャパオーバーとは、膨大な作業量のような外的要因を指すのではない。内的要因、つまり私を含めスタッフ自らが生み出しているもの、自らの意識付けにより軽減・回避できるものを指す。
仕事をする上では、常に優先順位を意識しなければならない。目の前にある仕事をできるところから仕上げていくというスタンス、つまり自らのコップに溢れんばかりの水を注いだ状態を作ってしまうと、イレギュラーな事態が生じた場合には、即崩壊という事態を誘発することになる。「自らコップになみなみと水を注ぐな!」これが大事である。
プレイヤーの立場からすると、目の前の仕事を頑張ってやっているのに、なぜそのようなことを言われるのか分からないかもしれない。目先しか見えていないと、どうしても目先のものに手が伸びてしまうのである。しかし、盤上を俯瞰的に捉えた場合、周囲の状況、時間軸などを踏まえ、「今それに手をつけるべきものか?」というのが見えてくる。その時間・瞬間に、「今自分がもっと大事にしなければならないものは何か?」ということが見えてくる。それを突き詰めると、目の前のものをその時点では「捨て去る」勇気が持てるのである。
目の前に飛車・角があるからそれを取るというような将棋をしてはならない。飛車・角を取ることが将棋の目的ではなく、王将を取ることが将棋である。大局観を常に持とう!
世間がいう「働き方改革」など、笑えるぐらい実に幼稚なレベルに思える。私が考える「働き方改革」とはこのようなものである。