メトトレキサート(MTX)による吐き気にどう対応するか?
- 2025.01.29
メトトレキサート(MTX)は関節リウマチ(RA)診療において中心的役割を担う薬剤であり、RAと診断されればまずMTXの使用を検討します。
しかし、MTXには種々の副作用があり、その中の一つに内服後の嘔気(おうき:吐き気)があります。例えば、MTXを毎週日曜日に内服している場合、日曜日の夕方から月曜日にかけて嘔気が出ることが多く、男性よりも女性の方が発現しやすい傾向にあります。
MTXによる嘔気が軽度であれば問題ありませんが、それが高度で日常生活に支障が出ることもあります。では、そのような場合どのように対応すれば良いのでしょうか?
MTXによる嘔気は用量依存性(投与量が多くなるとその発現率が上昇する)であり、MTXを減量することにより嘔気の軽減が期待できます。しかし、MTXを減量するということは治療を弱めることになるため、関節炎が増悪・再燃する恐れがあります。
そのような場合、MTXの内服(飲み薬)から皮下注射(メトジェクト®)への変更が大きな選択肢となります。皮下注射は内服と比較し嘔気の発現率が低く、嘔気の程度の軽減が期待できます。
現在当院に通院中のRA患者さんは300名を超えており、メトジェクト®を使用中の方は20名を超えております。MTX内服による嘔気がありながら主治医に言い出せない方がおられると思います。メトジェクト®は良い選択肢の一つになりえますよ。