関節リウマチ診療における『尿検査』の重要性

  • 2023.05.17

 関節リウマチ(RA)診療において、『尿検査』は重要な検査の一つです。内科の中で最も尿検査をオーダーするのは『腎臓内科』です。尿は腎臓で作られるので当然ですよね。その腎臓内科に次いで多いのが、我々『リウマチ・膠原病内科』でしょう。ブログでも何度も述べているように、RAや全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病では、全身の諸臓器に病変が出る可能性があるため、リウマチ医には全身を診る姿勢が求められます。腎臓もしばしば障害を受ける臓器であり、尿検査が重要というわけです。  では、具体的に尿...

その症状は、本当に『風邪(かぜ)』ですか?

  • 2023.05.16

 突然ですが、皆さん『風邪(かぜ)』症状をきちんと説明できますか?日常診療をしていて気づくことですが、結構多くの患者さんが誤った理解をされています。空気の通り道である『気道』が感染源なので、咽頭痛(のどの痛み)・鼻汁(鼻水)・咳嗽(せき)・喀痰(たん)が主な症状であり、発熱や倦怠感を伴うこともあります。  咽頭痛・鼻汁・咳嗽・喀痰が全くなく、発熱や倦怠感だけの症状しかない場合には、決して『風邪(かぜ)』とは言いません。なぜこんなことを強調するかと言いますと、関節リウマチ(RA)の治療薬の...

関節リウマチ治療を自己中断する理由とは?

  • 2023.05.15

 関節リウマチ(RA)は関節の痛みや腫れをきたす疾患ですが、抗リウマチ薬投与によりそれらの症状が改善するとあたかも治ったような感覚になり、「薬やめちゃっても大丈夫かも」という思いから通院を自己中断される方が時々おられます。  せっかくMTXよりもマイルドな抗リウマチ薬で落ち着いていたのに、自己中断された結果関節炎が再燃し生物学的製剤(BIO)を導入せざるをえなくなったケースや、メトトレキサート(MTX)とBIOにより臨床的寛解を維持していたのに、自己中断された結果数ヶ月後に関節炎が再燃し...

ロキソニンを毎日飲み続けている人へ

  • 2023.05.14

 ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)は、いわゆる『痛み止め』の代表で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されます。ロキソニン以外には、ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)やセレコックス(一般名:セレコキシブ)、ロルカム(一般名:ロルノキシカム)、モービック(一般名:メロキシカム)などもNSAIDsに含まれます。  関節リウマチ(RA)患者さんの中にはこのNSAIDsを内服されている方が多いかもしれませんが、RA診療におけるNSAIDsの位置づけを皆さん理解されているでしょう...

関節リウマチと総合内科

  • 2023.05.13

 多くの関節リウマチ(RA)患者さんが私のブログを読んで下さっているかもしれませんが、あなたの主治医は整形外科医ですか?内科医ですか?皆さん答えられますか?  『関節リウマチ』というと整形外科というイメージを持たれている読者も多いかもしれません。確かに、私のいる滋賀県でも一部の施設を除いてRA診療を担っているのは整形外科医なのですが、日本リウマチ学会員の多数を占めるのは、実は内科医なのです。実際、東京などの都市部では、RAを診ているのはほとんどが内科医で、若い整形外科の医師はRA診療を敬...

リウマチ性多発筋痛症

  • 2023.05.12

 一般的にリウマチというと『関節リウマチ(RA)』のことを指します。しかし、タイトルの『リウマチ性多発筋痛症(PMR)』と診断された患者さんの多くは、自分の病名がRAと思い込んでいます。シェーグレン症候群や全身性強皮症などの膠原病の方でも、RAと思い込んでいる方がおられるので、「私はリウマチなんです」との患者さんの訴えを、私はそのまま鵜呑みにしないようにしています。  閑話休題・・・  PMRは高齢者にみられ、急性の経過で(時に発症日が明確)、両肩の挙上が困難となり、時に腰部から大...

メトトレキサート(MTX)10~12mg/週で効果不十分な場合・・・

  • 2023.05.10

 昨日、メトトレキサート(MTX)の効果判定について述べましたが、MTXを開始し、MTX10~12mg/週まで増量しても効果不十分と判断された場合、次の治療戦略はどのようになるでしょうか? ① MTX14~16mg/週まで増量する。 ② 他の従来型合成抗リウマチ薬(タクロリムス・イグラチモド・サラゾスルファピリジン・ブシラミンなど)を併用する。 ③ MTXの皮下注製剤であるメトジェクトに変更し、12.5~15mgで投与する。 ④ 生物学的製剤を併用する。 ⑤ JA...

メトトレキサート(MTX)の効果判定

  • 2023.05.09

 『関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き 2023年版』では、「予後不良因子をもつ非高齢者」では、MTX8mg/週での開始を推奨しており、2週ごとに2mgあるいは4週ごとに4mgずつ迅速に増量してもよい。また、副作用危険因子がなく、忍容性に問題がなければ、10~12mg/週まで増量する。と記載されています。  私の場合、これに則った形で、70歳未満で腎機能に問題なく肺病変がないケースでは、MTX8mg/週で開始し、2週間後にはMTX12mg/週へ増量すると、2...

市民公開講座のお知らせ(6/11)

  • 2023.05.09

来る6/11、ながはまさざなみタウンにて、市民公開講座「よくわかる 関節リウマチと骨粗しょう症のお話&相談会」を開催いたします。 地域の皆さまへのリウマチ性疾患と骨粗しょう症の正しい知識の普及・啓発を目的としており、長浜市及び長浜市教育委員会の後援もいただいております。 ご興味のある方はぜひご参加ください。 ...

「足」の診察の重要性

  • 2023.05.08

 関節リウマチ(RA)は関節に炎症をきたす疾患ですが、すべての関節に一様に炎症が生じるわけではなく、症状が出やすい関節(=好発部位)があります。手の指や手関節がその代表ですが、足趾(=足の指)も好発部位の一つです。ACR/EULARのRA分類基準(2010年)においても、手指や手、足趾のように末梢の小関節ではスコアリングが高く、肘・肩・股関節などの中・大関節ではスコアリングが低くなっています。  足趾が好発部位の一つであるということは、RA診療において「足」の診察が非常に大事ということに...