メトトレキサート・・・本当にその量でいいのか?

  • 2024.09.10

 今回は久しぶりにお薬のお話をしようと思います。関節リウマチ(RA)診療におけるアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)についてです。  「関節リウマチ診療ガイドライン2024」にも明示されている通り、RAの診断がつけばまずMTXの使用を検討します。しかし、そのMTXの使い方に熟知していなければ、そのポテンシャルを十分に発揮することができません。今回はその点について言及したいと思います。  従来型合成抗リウマチ薬(csDMARD)には、10種類以上の薬剤が保険収載されていま...

「病院に来て触ってもらうことがないなんて今まで一回もなかったのに」

  • 2024.09.09

 今回は、患者さんからの言葉をそのまま引用させていただきました。ある病院から当院へ転院されてきた患者さんです。  その患者さんが言われるには、今まで何らかの理由で体調を崩し医療機関を受診すれば、触診や聴診が必ずあった。しかし、関節リウマチを発症して前医の病院をかかるようになってからは、一回も触診がない。検査結果とレントゲンだけをみて判断されていましたと・・・  同じ医師として本当に悲しく情けない気持ちになってしまいました。  関節リウマチ(RA)診療では、触診は基本中の基本で...

日本酒検定1級受験

  • 2024.09.08

 本日は、湖北医師会の休日診療当番でした。コロナの流行は少し下火になっているのでしょうか?非常に落ち着いた一日でした。  さて、先日、日本酒検定1級試験を受けてまいりました。昨年の12月に3級を受け、2級、準1級と一歩ずつクリアしての最終関門です。1級は50問中85%以上の正答率、つまり43問以上の正答で合格になります。  言い訳ですが、今回は試験の準備があまりできず、半年前の準1級受験時の知識を思い起こすので精一杯・・・地味に落ちるのではという一抹の不安を抱えながらの受験でした。...

あなたの主治医は「関節」しか診ない人ですか?

  • 2024.09.06

 関節リウマチ(RA)という疾患は、関節内の滑膜に炎症(関節内滑膜炎)をきたす疾患です。したがって、「関節」をしっかり診ることが重要です。心臓や肝臓は1つ、肺や腎臓は2つしかありませんが、「関節」は非常にたくさんあるわけですので、1ヶ所や2ヶ所だけ診ればよいというものではありません。日常診療では40以上もの関節を一つずつ触診し、適宜関節エコーをあてるという作業を限られた診察時間の中でスピーディーに行う必要があります。  最近のブログ記事には、「関節」を診ることの重要性について繰り返し述べ...

関節リウマチの状態はリウマトイド因子の値で判断してはいけません!!

  • 2024.09.03

 ほとんどの患者さんは、関節痛がないとRAの「状態が良い」、関節痛が強いとRAの「状態が悪い」と判断されます。しかし、実際のところは、関節痛がないからといって必ずしもRAの状態が良いとは限りませんし、関節痛が強いからといって必ずしもRAの状態が悪いとは限りません。  強い関節炎があっても関節痛がない、あるいはほとんどないといったことは、特に足趾(足の指)の付け根の関節(MTP関節)でしばしばそのような傾向が見られます。  また、関節痛が強くてもその原因が、変形性関節症やいわゆる更年...

「契約」

  • 2024.09.03

 作為の結果も不作為の結果も全て自らの責任である。それが経営者である。  私は中高6年間カトリックの学校で学んだ。週1回「宗教」の時間があった。新約聖書の教えには、「与えることによって与えられ、許すことによって許され・・・」このような言葉があったように記憶している。  学校の道徳の時間で学ぶことあるいは、宗教の時間で学ぶこととは反するが、経営をしていると、人を信じないということの大切さも学ぶ。  そこからフラットな判断基準が生まれる。人の評価は単純明快である。 ...

関節リウマチ診断の難しさ(その6)

  • 2024.09.01

 関節リウマチ(RA)診断の難しさについてこのように話を進めてきますと、RAと誤って診断されるケースにはある傾向が見えてきます。  「リウマトイド因子(RF)の値が高いので関節リウマチです」  もし、RAと診断されている方の中に、医師からこのような説明しか(RAと診断に至った根拠が他にない)受けていないのであれば、RAの診断そのものを疑ってください。  リウマチ領域に限らず、他の領域においても、一般に信じられていることが正しくないということがしばしばあります。一般的な意見や大...

関節リウマチ診断の難しさ(その5)

  • 2024.08.31

 「レントゲン撮りましたが、骨には異常ありません」  関節の痛みがあって医療機関を受診すると、しばしばこんなフレーズを医師から聞くことでしょう。  「痛み止めと湿布出しときますね。もし、痛みが強くなったらまた来てください。」  そんな締め括りの言葉を土産に、診察室を後にする患者さん・・・きっと、その医師からすれば決して特別な言葉ではなく、日常茶飯事なのでしょう。  「内科診断学」という言葉があるが、総合内科医が身に付けなければならないものの一つである。患者さんが訴える症...

「リンゲルマン効果」

  • 2024.08.27

 このタイトルにある「リンゲルマン効果」は、経営者がしばしば直面する大きな問題である。  詳細は各々の読者が調べていただければと思うが、組織の中で「リンゲルマン効果」が発生している状況においては、責任以上の成果を生み出そうとする意識は生まれない。そして、この大きな問題は当事者のそういった意識がなく生じるというところにあり、それを気付かせようにも多大なエネルギーを要するのである。  中間管理職がない組織においては、これを防止あるいは排除することは至難の業である。しかし、私が「孤独」に...

「覚悟」

  • 2024.08.24

 全ての苦しみは、将来の喜びのためにある。しかし、それは全員に当てはまるものではない。神様や仏様、ご先祖様はその人をみている。それは今を必死に生きた者だけに与えられるものである。受験勉強の合格もそして事業の成功も・・・・  横綱に降格がないように、そして立行司が短刀を差している(軍配差し違えの際の切腹する覚悟を意味する)ように、「覚悟」は人を強くする。  「覚悟」を持って仕事をしている人間がどれだけいるだろうか?その答えは、私が人付き合いをしない理由と一致する。  常に上を目...